幼馴染みの距離1
今から遡ること15年前。
高校2年の寒い冬だった、幼馴染みだった俺達3人の関係性が変わったのは。
Christmas Eve のその日。
終業式の後、毎年一緒にクリスマスパーティーをしていた俺達。
「あ、直人!俺とゆきみ、付き合うことになったから。今年からイヴは2人きりにして!」
二学期最後の日の朝、学校に着いた瞬間哲也に言われた。
一瞬何のことか分からなくて。
キョトンとしている俺の目に映った手を繋いでいる哲也とゆきみ。
元々仲良しな俺達。
ゆきみが哲也であり俺と手を繋ぐことは普通で、だからその姿を見ても何の違和感もない。
「あ、うん。えっ!?ゆきみと哲也が付き合ってんの?」
…ゆきみって、いい感じの男いたよね?
合コンで知り合った男。
「え、ゆきみあの男は?」
「直人!そういうことだから!!ゆきみ行くよ」
哲也に手を引かれて連れて行かれるゆきみは俺を振り返って「直ちゃんごめんねっ!」そう言ったんだ。
ポツンとその場に一人取り残された俺。
クリスマスでみんな浮かれた気分の中、何だかこの世に一人ぼっちになったように思えた。
当たり前に傍にあったゆきみの笑顔が、哲也だけのもんになったというのがこの時の俺にはまだ、全く理解ができなかったんだ。
ゆきみが哲也のものになったってことは、哲也もゆきみのものになったってことで。
クラスでも人気だった哲也ファンの女子達の悲鳴すら聞こえる。
「分かってたけど、辛いよね…」
「土田くん独り占めとか、羨ましすぎる」
分かってたって、哲也とゆきみが両想いだったってこと?
そもそもやっぱりゆきみはこの前合コンで知り合った他高の男といい感じだって自慢気に話していたはずなのに。
あいつと何かあったのかな…。
どうにも気になって仕方ない俺は、終業式が終わったその日、その男を探しに出かけた。