伝えたい本気3
俺が本気出したらゆきみの気持ちも揺らぐってこと…?
たっくんの相談そっちのけで花火を楽しむゆきみと美月。
縁側に座って俺はそれをずっと見ていた。
「直ちゃんって今まで色んなこと軽くクリアしてきたと思うけど、どれもこれも絶対1番になるって気持ちでやってないように思えて。だからそんな直ちゃんが本気で私のこと欲しいって思ったら…―――分かんないよね…」
そう言ったゆきみ。
確かにその通りかもしれねぇ。
特に本気を出すこともなくそつなく過ごしてきたけど、どれも別に1番を狙っているもんでもなかったから中途半端なままで終わってきた。
俺にとって1番だって思えることもなかったから本気になる必要もないって。
つまりは、ゆきみは俺の本気が見てみたいってことか?
ゆきみの為なら本気になれる?
一瞬浮かんだ哲也の顔すら吹っ飛ばして俺はゆきみの所に向かった。
「後で線香花火しようよ、ゆきみ」
「いいよ〜。勝負する?先に落とした方が残った方の言うこと聞く!」
「のった!俺絶対ぇ勝つから」
「私も負けないよ!」
見つめ合って微笑む俺達を、美月がカシャっと写メにおさめた。
「お似合いだなぁ〜二人」
そんな独り言をつぶやきながら。
「ンンッ…イイッ…」
「………」
「直ちゃんもっともっと…」
「………」
「あんっ、そこおっ…ひゃあああっ!!」
「ゆきみ!!!」
風呂上がりのベッドの上。
俺のベッドの上でまさかの喘ぎ声をあげるゆきみを見下ろす俺は額にうっすらと汗までかいてる。
美月が風呂に入ったからってゆきみは俺の部屋に来てベッドに転がった。
その上を俺が跨って…
「その声やめて…俺がどうしていいか分かんなくなる…」
困ったように眉毛を下げる俺を見てクルリと向きを変えたゆきみが笑いだした。