恋に気づいた日4




「え、お兄ちゃんっ!?帰ってたの?もう言ってよ〜。吃驚した。暗闇でどうしたの?」



カチっと部屋の電気をつけると俺の存在を見て驚く美月。



兄貴の存在に驚く妹があるかよ。




「腹減った。美月飯は?」

「今日は二人とも遅番だからレンジでチンだけど、お兄ちゃんもう食べる?食べるなら準備するよ」

「…食う」

「分かった。あねぇ、サーティーワンの新作食べた?あたし食べたくって。お兄ちゃん奢ってよ〜」

「…食うかよ、あんなの」

「へ?」

「今日食ったばっかだっつーの」

「えええ、何で誘ってくれないの?酷い。あたしも食べたかったのに〜」

「…哲也にでも頼め」

「…何かお兄ちゃん機嫌悪い?」



美月がジイっと俺を見ていて。


自己嫌悪で死にそうなの、なんて言えるわけもなく。




「ああ、分かった!ヤキモチだ、ゆきみさんとてっちゃんがイチャイチャしてるの見て!全く大人げないね〜」



…お前、何で分かる!?


思わず目を見開く俺に、美月はニコっと微笑むとこう続けた。




「悪いと思ってるならさっさと謝っちゃいなよ?」

「…ちょっと出てくる」

「は〜い」




美月に諭されるなんて思ってもなかったけど…




「美月お前、彼氏なんていないよね?」

「え?たっくんのこと?」

「は、誰だよたっくんって!?」



俺の言葉にしまった!って顔をする美月。


うわ、こいつ絶対男いる!!



中坊のくせに!


つーかどこのどいつだよ、たっくん!


高橋か?


滝沢か?


高村か?


それともあれか、拓哉?たくみ?たかし?た…――「お兄ちゃん早く行きなって!」美月が俺の背中を手で押す。



「美月、帰ったらきっちり聞くからな!」

「気をつけてね〜」



美月に無理やり部屋から出されて俺は数軒先のゆきみの家まで歩く。






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