恋に気づいた日2
新作アイスを片っ端から頼んだゆきみ。
ダブルカップで二種類づつゆきみの好きな味を俺達も頼む。
「あ、土田くん!」
座って食ってると、女子高生が入ってきて哲也を見つけるなり近寄って来た。
他校の制服を着ているそいつらと「おお、お前たちも?」なーんて話していて。
だからか、ゆきみはちょっとだけムウっとした顔で哲也のカップに入ってるアイスばっか食ってる。
どんどん食ってって半分ぐらい無くなってるから、思わずゆきみの手を止めた。
「腹壊すよゆきみ」
「いーの。壊しても食べたいの」
「やめろって」
俺が言うとブスっとした顔のまま「なによ、直ちゃんのケチ」そう言うんだ。
だけどゆきみのその顔は哲也に対するヤキモチであって。
「俺のあげるから、ほら」
さっきゆきみが飴をくれたようにスプーンにアイスを乗せたままゆきみの口元に運ぶ。
「わーい」
そう言って俺のアイスをパクつくゆきみの笑顔にホッとして、もう一口すくってそれを差し出した。
「美味し!やっぱそっち頼めばよかった〜」
頬に手を当てて笑うゆきみのカップを見ている俺に、「じゃあ一口あげるね」ゆきみのチョコが俺の口に運ばれる。
思いっきりスプーンまで舐めきる俺に、何の違和感も躊躇いもなくそのスプーンで自分のアイスを食うゆきみはやっぱエロイ。
これが、女のエロさなんだって。
「哲也溶けるよ〜」
「え、ああ!ごめんね、怒った?」
他校の生徒が別の席につくとゆきみの身体を自分の方に引き寄せる哲也。
ほんのり色素の薄いゆきみの茶色い髪をやんわりと撫でていて。
頬をムニュって抓る哲也に「別に怒ってない、こんなことぐらいで…」まだムウっとした口で答えている。
…俺が彼氏だったら抱きしめたくなるな、その顔。
自分が他の女と話してるだけでそんな顔されたら面倒くさいもんじゃないかって…。
でもゆきみのその顔は可愛くて…
「直人、さっきの子…お前のこと気になってるみたいなんだけど、どうする?」
聞こえた哲也の声に意識がゆきみから離れた。