俺の本気
「ンッ…臣くっ…」
俺の名前を呼ぶ美月の言葉すら遮って強引にキスを交わす。
このまま美月のこと抱いてやりてぇって思うけど、そこまでできなくて。
激しくキスを繰り返すだけで精一杯だった。
無理やりやって美月に嫌われたらどーしよう?なんて恐怖。
いつだって女なんて「イヤッ」って言葉の裏にはイエスが隠れている。
だからそんな言葉を無視して行為を続けていくと、最終的には自分から足を開くような生き物で。
もちろん俺たち雄の欲求は半端ない。
けどそれが女だってなにも変わらないと思ってる。
雌は結局、俺たち雄に足を開く生き物だと。
時に、美月には通用しねぇけど。
「臣っ、」
苦しそうな美月の声にハッとして慌てて唇を離す。
美月からも一歩離れて降参のポーズ。
やべぇ、完全に理性飛んでた。
目の前で荒ぐ呼吸を整えてる美月に「ご、ごめん。今俺の理性吹っ飛んでた!」正直に謝った。
美月は相変わらず照れてるのか、ムウっとした顔で、でも小さく息を吐き出した。
「臣くんずるい。あたしだって我慢してるのに、自分だけずるい。臣くんだったら…って思わなきゃ家にまでついてこないよ。お兄ちゃんはダメって言ったけど、あたしは臣くんならって思ってる…でもだから今日はしない方がいいって。あたしも臣くんを信じてるし、やっぱり大事にされたい…」
ふわりと美月を抱きしめた。
あーまじで目ぇ覚めた。
「美月の言うとおり。俺が悪い、ごめんな。ただわかって欲しいのは、美月だから。美月だから俺こんなにも自分を見失ってる。美月だから俺、我慢がきかなくて…。けどまじで俺の事信じて?兄ちゃんにも証明してみせる!俺の愛は半端なくでかいってこと!な?」
俺の言葉に「うん」嬉しそうに美月が笑った。
見てろよ、登坂広臣の本気、見せてやるから!
「よし、料理再開!美月のトンカツ早く食わせて!」
「キャベツ切って!」
「おう!任せろ!」
彼女と一緒に料理をすることがこんなにも楽しいなんて。
彼女と一緒に飯を食うことがこんなにも幸せことだなんて、初めて知った。