合鍵
後ろから美月に巻き付く俺をぷいってケツで押す美月。
いやそんなことされても可愛いの変わんねぇから。
つーか、ケツで押したよね、俺の事。
マジでそんな女初めてなんだけど!
このままくっついてたらマジで直ちゃんの言い付け破れそう。
さすがにダメだよな。
いかんいかん、美月のこと大事にする!って決めたばっかなのに。
「臣くん、それとって!」
肉に卵とパン粉をつけて油に入れていく美月は手慣れていて。
「家でも料理すんの?」
「んー普通に」
「へぇ、家庭的なんだ」
「みんなこれぐらいはやってるよ」
「じゃあさ、これから毎日俺のために作ってよ?だめ?」
くるりと、美月の髪を指で触ると俺をまじまじと見つめる。
そんなに見られるとさすがに照れるから…
なんて思いつつも俺はニッコリ微笑んた。
「いいけどぉー…失敗してもちゃんと食べてくれる?」
「もちろん、もちろん!全部食うよ俺!」
「じゃあ鍵ちょうだい?」
「へ?鍵?」
「うん。臣くん家の鍵ー!」
…ドキンとして美月を見つめる。
俺を見ることなく手を動かしている美月。
だけどそんなこと、絶対照れてるはずだろ?
「美月…」
「んー?」
「こっち向いて」
「やだ」
でた、照れ屋。
無駄だよ、それ結構慣れてきたし。
やだって言っても照れてるだけって分かってるし。
「合鍵、明日作ってくるから、美月の部屋の鍵もくれる?」
「…ん。あげる」
ドーン!!!
俺の心の中で花火が打ち上がった気がした。
頼むからこれ以上可愛いこと言うなって。
まじで調子狂うし、理性飛ぶから。
油の火を決してから俺は美月を冷蔵庫に押し付けた。
トンって背中をついて俺を見上げる美月の頬に手を添えると「ムウ」って唇を尖らせる。
照れて目を逸らそうとする美月を視線で固めて「キスしよ」甘く囁いて壁ドンからのキス。
はぁーまじで止まんねぇこれ。