葛藤
生温い美月の舌を絡めとってるだけで身体の奥底から熱くなっていって…
あ―俺ヤバイ。
このままだと暴走しそう。
どーする?
直ちゃん達の言いつけ守る?破る?
「ンッ…おみぃっ…」
目を開けると、真っ赤な舌を引っ込めて俺を見つめ上げる美月。
ドクンっと心臓が脈打ったのが分かった。
やべぇ、トンカツまで色々待てねぇ…
マジどうする?
隆二ならヤっちゃう?
いやいや、やめよう。
他の女と美月を一緒にしたくねぇ。
兄貴との約束ぐらい守らないとダメだよな。
「美月あのさ…」
ふう〜っと息を吐きだして俺は小柄な美月の肩に手を置いてそっと見つめた。
高揚した顔で俺を見上げる美月は「ん?」小さく首を傾げていて。
「俺大事にしたいの美月のこと。だから今日はマジで手出さない。兄ちゃんの言いつけもあるし。けど男だから色々理性が吹っ飛びそうになるかもしんなくて。俺が覚醒してたら止めて。兄ちゃんの名前叫んでくれりゃすぐ戻ると思うから…」
結構思い切っていった言葉なんだけど、当の美月はキョトンとしていて。
でもすぐに照れたような顔で、でもちょっと泣きそうな赤い顔で小さく頷いた。
それが表現できねぇくらい可愛くて…
「キスはいいよね?」
そんな台詞、今まで一度だって言ったことないのに。
確認なんてする前にしちゃうことのが多かったのに…
こんな風に大事にしてやりたい女が俺に現れるなんて思ってもみなかったんだ。
美月の腰に腕を回して引き寄せてチュって唇を合わせた。
すぐに離れてまたチュってリップ音をたてて重ねる。
そのままギュって抱きしめて頬に耳にキスをすると美月が「うー」って腰をくねらせた。
「臣くん、トンカツ作れなくなる…」
「おお、トンカツな!悪い、悪い。んじゃ一緒に作ろう?」
「うん。臣くん料理できるの?」
「一通りな。あの店来る前までバーで働いてたから作ったりもしてたし」
「へっ?プロ?」
美月が目を真ん丸く開けて聞いてきて。
「いやそんなんじゃないから。俺は美月のトンカツが食いたいの」
ポスって頭に手を乗せると、また美月が嬉しそうに笑ったんだ。
あーこいつのこと、ずっと守ってやりてぇ…マジで。