お洒落な部屋
「…お洒落すぎる!」
玄関に足を踏み込んだ瞬間美月が唖然としてそう言った。
キョロキョロ辺りをまるで物色するみたいに見回して眉毛をさげると小さく溜息をついた。
え、なに!?
今の何の溜息!?
美月の顔を覗き込むとムゥって唇を尖らせていて。
マジさっきからその顔めちゃくちゃ可愛いから。
もうここ家だし理性も吹っ飛ぶよー!
なんて思いながらも肩に手を回して耳元で「どうしたの?」そう聞いた。
「これ誰が作ったの?……前の女?」
「はっ?」
見つめる美月はやっぱり納得いなかいって顔。
……え、前の女?なにが?どれが?
キョトンとした顔をしている俺の頬を背伸びして両手で摘まれた。
「こんなお洒落な部屋入ったことないよ。IKEYAでしか見たことないよあたし。直ちゃんとゆきみさんの部屋はすっごいラブラブだし、てっちゃんの部屋は海外チックで。臣くんの部屋は、なんでこんなお洒落なの?」
「…てっちゃんの部屋まで入るの?」
美月のヤキモチだか何だか分かんねぇ怒りよりも、さり気なく言ったてっちゃんの部屋のが気になるっつーの!
ほんと無防備。
向かい合って俺も美月の餅みたいに柔らかい頬を緩く指で摘んでやった。
「入るよ、てっちゃんの部屋ぐらい!」
「じゃあ、次からは俺も一緒に入る。美月一人で入らないで?」
「なんで?」
そうくるか!
美月って絶対ぇSっけあるよなぁ。
まぁいいけどそんな女初めてだし。
「妬けるから」
素直にそう言ったらポンって音が聞こえそうなくらい顔を真っ赤にして俯いた。
やべぇ、腹よじれそうなくらい面白れぇ。
つーか、可愛いすぎる!
はぁ、心臓持たなそう、俺どーするよ。
「てっちゃんの部屋で可愛い彼女と二人きりになんてさせねぇぞ!」
「ムゥ……」
ぶはっ!
口に出したよ、こいつ!
もーどーすりゃいいの、俺。