秘密の指切り1



三日後、奈々は友樹さんと同棲していたあの家を出て、どうしてか直人さんの家に転がり込んだ、ゆきみさんも一緒に。



「いやなんかもー俺居場所がないっていうか。あの二人仲良すぎて、ゆきみ用のベッドに二人で寝てんの!え、そこ俺の場所ちゃうん?って…」



寝不足気味の直人さんが俺たちメンバーに愚痴を零す。

弱みを見せるってことは、前よりも直人さんにとって俺たちメンバーの存在が大きくなっているってことでいいんだよな?

それはそれで嬉しいっすよ。



「直人さん俺、泊まりに行ってもいいっすか?そしたらゆきみさんと一緒に寝れますよね?」



冗談で言ったんだけど、そっちも限界なのか?直人さんはつぶらな瞳を歪ませてエロ目全開。

俺の肩に腕をかけて「それいいねぇ」なんて笑ってる。

え、マジで!?

いやでも友樹さんと完全に別れてない奈々に手出すわけにはいかねぇよな。

100%俺は受け入れられるけど。



「直人さん目がいやらしいっすよ。ゆきみさんのベッドに臣さん寝かせていーんだ?」



意地悪岩ちゃんにそう言われて、ハッと目を大きく見開く直人さん。

はぁーって小さく息を吐き出して「ゆきみが足りねぇ」ソファーの上で膝を抱える俺らのリーダー。

ちょっとそれ、インスタ載せるよ?

カシャって思わず写メを撮ってみた。

さすがにインスタはまずいって、ゆきみさんのLINEに貼り付けたんだ。

奈々のことでいつでも連絡していいからって、ゆきみさんと密かにLINEを交換していたわけで。

直人さんが知ってるのかは分かんないけど。



【エッチできなくて悩んでますよ、直人さん】



冗談でそう書いたら仕事中だと思うけどすぐに既読になった。



【え、えっち!?な、なに?】



LINEなのにキョドってるゆきみさん面白れぇ。



【奈々と毎日同じベッドで寝ちゃうって拗ねてます!】

【…可愛い。臣くん、そーいうのもっと教えて!】



思いの外、欲しがられて俺は肩を透かした。

とりあえず奈々の傍にはゆきみさんがいてくれてよかった。

本当は俺が傍にいてやりてぇけど、やっぱりそこはちゃんとしたい。

だらしないって思われたくもねぇし、誠意じゃなきゃ人の心はそうそう動くもんじゃねぇ。

自分に置き換えて考えると、酷いことしてるって思うけど、譲れないんだ。





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