秘密の指切り3
【臣くん、ごめんね。奈々のことよろしくお願いします】
どうやらゆきみさんは俺を心底信用してくれているようで。
普通なら親友を男の家に泊まらせるなんてことするような人じゃない。
だからなんだかんだでゆきみさんに認めて貰えることが嬉しかった。
「え、俺と健ちゃんも?いいけど…」
「えー俺ら様子みて途中で消えた方がええか?」
「いやいや、そこはダメ。これ真面目に危険だから。そこ裏切ったら友樹さんに示しがつかねぇし、マジで奈々のこと手に入れらんなくなる。そこはマジで帰らないで!」
真剣に言う俺に健ちゃんも真顔になった。
ちょっとだけ眉毛を下げて俺を見つめる。
「ほんまに好きなんやなぁ臣ちゃん。なんやかっこええわ」
「うん。カッコイイ!」
いやそこ褒めなくていいから。
照れるからマジでこーいうの。
「そーいうことだから、頼みます!」
頭を下げる俺に、隆二も健ちゃんも快く引き受けてくれた。
直己さんには断わられたけど。
「臣さん、俺は誘ってくれないの?」
「岩ちゃん撮影でしょ?今日も」
話を聞いていたのか、岩ちゃんが不満げに俺を見ていて。
「そうだよ撮影。けど行きたい!」
「撮影しろよ!また今度二人きりの時誘うから!」
パチって冗談ぽくウインクをすると、苦笑いでいなくなった。
直人さんにとっては危険な存在だったかもしれないけど、俺にとっちゃ岩ちゃんは貴重な存在だから。
それにたまには隆二とも腹割って話するのも、いいよな。
あ、健二郎くんもいたか。
早速朗報を聞きつけたのか、直人さんが笑顔で入ってきた。
「やあやあ、臣ちゃん!今夜悪いね、俺とゆきみの為に。本当ありがと!」
肩をポンポンって叩かれて、直人さんはマネージャーに今日のスケジュールを何度も確認している。
それをこっそり動画で撮ってゆきみさんに送ってあげたら、キャーキャースタンプが貼られた。
俺の具合も絶好調で、熱があることも忘れそうなぐらいで、ひたすら夜になるのが待ち遠しかったんだ。