隠しきれない動揺4
「大丈夫、歌えるよ。臣のこと誰も責めたりしない。あたしが分かってる…。あたしが袖で見てるから信じて?」
ギュウって言葉に気持ちを込めるみたいに強く抱きしめる奈々。
何も言えなくて。
声を出したら泣きそうで。
奈々の胸元に顔を埋める俺を、それでも無理やり剥がされた。
「臣…」
「ん…」
「広臣…」
やめろって、こんな時に。
「大丈夫、できる。歌える…」
「…おう」
でも…奈々が俺を見ててくれるって思ったら、自然と心が軽くなった気がした。
ジッと下から奈々を見つめ上げる俺の頬を、奈々の小さな手が掠めていて。
「できるよ、歌える。笑顔でパフォーマンスできる」
「うん…」
「ね、大丈夫。あたしがいる…」
「ん…」
「臣はできる、歌える。笑顔で…」
スッと奈々の奇麗な頬に手を添える。
その手に自分の手を重ねる奈々。
小さい手で俺の手に温もりをくれる奈々…
「…愛してる」
「…もう…」
気持ちが抑えられなかった。
どうしようもなく好きな気持ちを受け止めて欲しくて。
弱い俺も真っ直ぐにちゃんと受け止めてくれる女なんて、奈々しかいねぇ。
二度目の告白に、涙を見せたのは俺で。
困ったように微笑んだ奈々はそっと目を閉じた。
まるで初キスみたいに震えていたのは俺の方だったなんて―――