隠しきれない動揺2



「今日さ、俺ん家でメンバー会議しようか」


ポンって直人さんが俺の肩を叩く。

顔を上げられない俺に「臣、HIROさんがいるから大丈夫だよ」直己さんがそう言ってはくれたけど。



「すいません、本当に…」



なるべくこういうとこが起きないようにしてきたつもりだったけど、全然甘かった。

ゆきみさんを隠している直人さんをすごいと思った。

俺に奈々が守れるんだろうか…

急に不安になった。

今回は間違いだったからいいかもしれねぇけど、もしも万が一奈々との記事が出ちゃったら…?



「直人さん…すいません…」



やべぇ泣きそう。



「臣、生放送いける?」



Mステで新曲披露の今日、この後スタジオに移動してリハがある。

メイクもするから勿論奈々もくる。

どんな顔して奈々に逢えばいいんだよ。



「大丈夫です」



そう言ったものの、俺の心は物凄く不安定で、壊れそう。

こんな時、直人さんはどう乗り越えてきた?

ほんの少し顔を上げて直人さんを見ると困ったように眉毛をさげていて。



「奈々ちゃんは何も知らないから。生放送だけは乗りきってよ臣…」

「…はい」



奈々の名前に吃驚することのない直己さん。

分かってるんだって、全部。

何も言ってないけど、俺達をくまなく見てくれている直己さんだからこそ、俺が奈々を好きなことすらお見通しなんだって。



「すいません、少しだけ一人に…」



こんな所で立ち止まってられるほど暇じゃない。

けど何ともいえない感情が押し寄せてきて、本当の本当は泣きそうだった。

こんな弱くてダサイ俺、誰にも見られたくねぇよ…




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