告白2
「あんま泣いてるとキスするよ?」
冗談っぽく俺が言うと困っように首を横に振る奈々。
マジでこれ以上危険だから…
「臣…臣…」
それでも泣いちゃう奈々を引き寄せてそっと抱きしめた。
「奈々が俺じゃなきゃダメだって、そう思えるぐらいのいい男になったら俺のこと真剣に考えてよ。どんだけかかっても俺、奈々のこと好きだって気持ちだけは諦めないからさ」
ギュっと奈々を抱きしめると、コクっと小さく頷いた。
あは。
OKしてくれたんだ。
やば、マジ嬉しい。
「臣ー!臣の番だよ!」
ガチャっと楽屋のドアが開いて隆二が目を真ん丸くして見てる。
そりゃそうだろな、抱きあってるもん俺ら。
「臣、何してんの?」
刺すような強い視線を送る隆二に少し前ならイラっとしていたと思う。
けど俺、こんなとこでずっと立ち止まってらんねぇんだ。
元々恋人がいる奈々を。
メンバーまでもが狙ってる奈々を振り向かせるにはウジウジなんてしてらんねぇし、一分一秒が命取りになるって。
隆二がどこまで本気なのか知らないけど、俺は隆二にだって取られたくない。
譲る気サラサラないから、悪いけど。
「隆二、違うの、これは違うから。あたしお手洗い行ってきます」
涙を拭って奈々が慌てたように楽屋を出て行った。
残された俺に隆二はどうしてか切ない顔で「泣いてた?」そう聞いた。
「あーうん。けど意地悪とかじゃなくて…」
「じゃなくて?」
「好きって言ったら泣かせた…」
「え?」
「隆二。俺好きだから奈々のこと。負けないよお前にも」
「…臣…」
俺に宣戦布告されてどんな顔するかな?って。
何て答えるかな?って思ったけど、俺の言葉を聞いた隆二は、まるでさっきの奈々と同じように、切なそうに微笑んだんだ。
奈々が何を隠しているのか。
隆二がどんな守り方をしているのか、この時の俺は何も分かっていなかったんだ。
でもそれが俺達の運命だって…―――そう思う。