プライド2
ジロっと奈々を見ると、もう俺のことなんて見ていない。
隆二と楽しそうに話している。
…この一週間で何があった?
何が変わった?
俺、何かした?
奈々にあからさまに避けられるようなことした覚えねぇけど…。
「距離近いっすね、二人」
「え?なに岩ちゃん?」
不満顔の俺の顔を読んだのか、岩ちゃんがあまり目立たないように小さな声で隆二と奈々を見てそう言ったんだ。
まるで俺の気持ちを代弁するかのように。
振り返った隆二はキョトンとしていて。
「あんなこと、って何すか?隆二さん」
更に突っ込む岩ちゃんは俺の味方なんだろうか?
でも…―――「岩ちゃんちょっと来て」呼んだのは直人さん。
絶対に俺達の声、直人さんにも届いてたはず。
やっぱり直人さん何か知ってるんだって。
それが、俺には奈々に相応しくないって遠まわしに言われたような気分でちょっとだけ凹んだ。
奈々の親友を恋人に持つ直人さんにそうされるってことは、ゆきみさんであり奈々が俺をよく思ってないってこと?
せっかくジュリを忘れかけていたと思ったのに、やっぱ俺、ジュリじゃなきゃダメだって?
結婚したジュリを消化しきれない俺はいつまでたっても前になんて進めやしないっていうのに。
何なんだよ、もう。
「臣さん、明日の夜とかどうっすか?」
「え?」
直人さんの所から戻ってきた岩ちゃん。
俺を見てスマホをかざしている。
そこにはサマンサの女の子達からの飲みの誘い。
忘れてたっつーの。
俺どうせなら岩ちゃんと二人で飲みたい…なんて言葉を当たり前に口に出すことはなく。
「俺は平気」
「じゃあ隆二さんがOKならそれで返事しますね?」
「あーうん。頼むわ」
「了解っす」
岩田、幹事向いてるな…。
ほんと、頼もしい弟だよ、お前。