登坂広臣2



JSoulBrothersを引き継いだ三代目の俺達7人。

今年の夏から初のドームツアーを回っていた。

本公演も無事に終えて残すところ追加公演のみの今、スタッフもメンバーも最後まで怪我なく無事に終了できるようにと意識を集中させているせいか現場も時にはピリピリしていて。

その空気が俺は結構気に入っている。

毎回同じ内容だけれど、それでもちょっとした変更は毎度毎度あって、それを全部頭の中に叩き込む。

だけど生のLIVEの醍醐味っていうのは、結局のところ、その日のモチベーションが大きく関わってくるんじゃないかって。

慎重にボイトレをこなす隆二に比べて俺は気持ちで歌っていたい。

その時感じた想いを歌にメロディーにのせて、観に来てくれたお客さんに届けてあげたいんだ。

けどマジ今日はクソ歌いづらかった…。

これじゃプロとして失格だなって反省。


「そんなに嬉しいの?」


隣を歩く隆二はご機嫌に鼻歌を口づさんでいて。

俺の言葉にニッコリ微笑む。


「うんだって臣辛そうだったから。きっとよくなるよ!」

「悪い、明日はもっと頑張るから」

「東京最後盛り上げないとね」

「だな!」


隆二と同じ笑顔で笑って俺は針の施術をうけた。



…―――そのお陰で、東京ファイナルはかなりの好調でLIVEを終えたんだ。




「お疲れ――っす」


ガシャン!

グラスが重なり合う音が鳴り響くここ、東京目黒区の事務所貝DHの一角にあるレストラン。

そこでとりあえず東京ドーム終了の打ち上げが行われている。

明日は一日OFFを貰っている為、今日はみんなノッケから飛ばして飲んでいる。

酒の弱い健ちゃんに至っては、既に真っ赤な顔で眠そうな目をトロンとさせているけど。

リーダー二人は相変わらずイチャイチャしていて…


「あ、ついたか。直己俺ちょっと迎えに行ってくるな」


直人さんがスマホを見て立ち上がった。

なんだ?





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