恋の悩み3
だから、「恋の悩み」なんて口走った俺をそこにいたメンバーがみんな一斉に振り返った。
最もここにEXILEの直人さん、直己さん、岩ちゃんすらいなかったけど。
「恋?」
健ちゃんがギョっとした顔で食らいついてきて。
俺は密かに隆二を視界に入れたまま「…うん」さも、深刻そうに答えた。
「なになになに、誰!?」
学生かってくらい、椅子から身を乗り出す健ちゃんに内心笑いながらも「さぁね」曖昧に答える。
直人さんと岩ちゃんがいなくて逆によかった。
二人には完全にバレている俺の気持ち。
黙って俺を見ているELLYの横、隆二がその口を開いたんだ。
「奈々?」
…やっぱり隆二は気づいてた?
俺が気にしている気持ち、まんま隆二も俺を気にしているんだろうか?
「…なんで?」
「奈々だったら嫌だな〜って…」
微かに微笑んでそう言う隆二。
余裕なんて見えないけど、俺と闘うのは嫌だってこと?
「それって隆二が奈々を好きだから?」
「えっ!?」
声に出して驚いたのは健ちゃん。
本当に知らなかったって顔してる健ちゃん。
そこがまた健ちゃんらしいけど。
「そうなん隆二!?」
さすがにメイクさん相手にメンバー同士で取り合うのは健ちゃんでも気まずいよな。
でもごめん。
やっぱ俺、隆二には負けたくねぇ。
「…正直、気になってる。好きとかまでいってないけど」
直球を飛ばす隆二がある意味羨ましいと思えた。
そんな真っ直ぐな気持ち、メンバーに包み隠さず言えちゃう隆二をかっこいいと思いながらも、どこかで嫉妬に似た感情が湧きおこる。
「臣は?」
それまで黙って聞いていたELLYが俺を見て口を挟む。
「どうだろ…。隆二みてぇに素直に言えないぐらい俺も曖昧なんだ…」
結局自分を守ることが先決だなんて。
これで隆二と闘えるんだろうか…。