恋の悩み2



明日は奈々来るかな?

どんな顔して逢えばいいか分かんねぇ…なんて思ってるくせに、結局この場に奈々がいないことが俺には不満で。

自分の矛盾する心もどーでもよくなるくらい俺は奈々のことばっか考えていた。


―――でも。

それから一週間奈々は俺達の前に姿を現さなくて。


「直人さんあの、奈々は…」


もうこの人に聞くしかないって思った。

プライベートで奈々と関われるのはこの人だけだって。

俺の言葉に顔を上げてキョトンとした顔の直人さん。


「やっぱ気になるの?」


鋭い突っ込みに内心苦笑いが込み上げる。

逢えない日々が続くことが、こんなにもしんどいなんて。

こんな気持ちずっと忘れていた。

真っ直ぐな目で直人さんに見られて。

睨まれているわけでも、責められているわけでもない。

でもなんだろう、心を見透かされている気分になるのはそう、少なからず直人さんが俺の気持ちを知っているからだって。


「気になり…ます…」


もう正直に言うしかねぇって。

この人に嘘は通用しねぇって。

つーか、奈々に嘘が通用しねぇんだって、思う。


「明日は来るって。大事を取って完全に治るまで休んで貰ってる」

「…そう、っすか。分かりました」


小さく頭を下げる俺に、何を言うこともなく直人さんは部屋から出て行った。



「あああああああ―――!!!」


椅子に座って思わず声を上げる。

髪をガシャガシャ掻き毟って溜息をついた。


「臣ちゃんなんやねん?」


心配した健ちゃんが俺の隣に座って。

悩みのなさそうなその顔に俺は自嘲的に笑うしかなかった。


「恋の悩み!」


だけど何でかこの時そんな言葉をが口を告いで出たんだ。

何となく、隆二に負けたくないって気持ちが俺の心の奥底に眠っていたんだと思う。





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