独占欲2



「ゆきみより弱いな奈々ちゃん…酒…」


途中で席を立ってトイレに行ったゆきみさんと奈々。

直人さんと二人きりになった所でそんな言葉。

俺はぶっちゃけイイ感じに酔っていて。

直人さんもほろ酔いに見える。


「久しぶりって言ってましたね」

「うん、今日は特別だって…ゆきみと臣がいるからって…」

「直人さん抜けてましたね」

「言うか?それ言うか?いーよ俺、ゆきみちゃんラブだもん!臣ちゃん奈々ちゃんの隣座りたい?」

「え?…いいんっすか?」

「まぁ…今日は特別だから。奈々ちゃんがそうしたい…ようにも見えて…」


頬杖をついて俺を見ている直人さんはワインを片手で転がしている。

ここんとこ、後半はよくワインを転がす直人さんが俺にはほんの少しだけ遠く感じる。

ああEXILE NAOTOなんだって。

三代目のNAOTOさんじゃない気がして、ちょっとだけ妬ける。

兄貴相手に。

どっちのグループも当たり前に大事にしている直人さん。

EXILEがいなきゃ三代目は存在しない訳で。

分かっているけど、これだけいつも一緒にいると、密かに三代目のが大事なんじゃないかって?

まぁ、そんなこと思う直人さんなんて嫌だけど。

三代目にしか所属していない俺は、時々そんなヤキモチを妬きそうになることもあるんだ。

ここ数年でそれを感じていた。

馬鹿なことだって自分でも分かってる。

でもそんな馬鹿なことすら、酒を飲むと出てきちゃうんだ。


「直人さん特別ってどういう意味っすかね?」

「…そのまんまじゃないの?」


何となく煮え切らないような表情に思えたけど、それをあえて追及することはしなかった。

その意味を何となく俺も考えてしまいそうだったから。


「奈々…男いますよね?」

「いるよ…そう言ってたろ奈々ちゃんが」

「はい。けど俺…どうしてもいないように思えます…。触った時の反応とか…」

「触ってんなよ、広臣。お前ら付き合ってもないのに…」

「直人さんも雪が降って会いに来たゆきみさん抱きしめたんでしょ?」


俺の言葉に、しまった!って顔で直人さんがワインを一口飲む。

それからチーズをパクついてまたワインを一口。

え、無視?

聞こえないフリ?

それずりーって直人さん。

ジッと直人さんを見つめる俺に小さく溜息をついた。


「抱きしめずにはいられなかったんだよ、逢いたくて…って俺に逢いに来たと思ったら。あんな風に俺の名前何度も呼んで泣きながらギュってしがみつくゆきみ見てたら…もうどうにかなりそうなくらいだったよ、俺のが…」


男の心理としてそれは分かる。

好きな女が自分に逢いに来たなんて日には抱きしめるどころじゃ終わらない。


「俺なら連れてっちゃうだろうな…」

「99%連れて行きたかったよ俺も」


フって直人さんが笑った。

いい顔で笑うな〜って。


「余裕がないとダメっすよね…」

「まぁ俺もそんな余裕があることばかりじゃねぇけどな…」


優しく直人さんが微笑んだ所で、奈々達が戻ってきた。






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