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こんなにも愛されているって女が心から思えるような抱き方…生まれて初めてだよ。


「私も…愛してる…隆二…」

「嬉しい…」

「私も…嬉しくて泣きそう…」

「嬉し泣き?」

「うん…」


涙ぐむ私の頬に手を添えて、頬に甘く口づける。

鬚が擦れてほんの少しくすぐったい。


「嬉し泣きならいいけど悲しい涙は絶対に流させないから俺…。ユヅキが悲しむようなことは絶対にしないし、させない。だから俺を信じてついてきてくれるかな?」


遠慮がちのわりに、その口調と気持ちに迷いなんて見えなくて。

こうやって未来を夢見せる男は星の数ほど沢山いるって思う。

それが口だけじゃないってこと…きっと隆二はこの先も証明し続けてくれるんじゃないかって。

人を信じることは大人になればなるほど難しくて。

だけど今私の上で強くそう言う隆二は…普段見ている隆二を知っている私にとって、嘘のない人で。

だから隆二の言葉がすんなり入ってきて、信じられるんだって。


「はい…」


そう言って微笑む私に「よかった」安心した顔をくれる隆二。

そのまま止まっていたそこを再び動かし始めた。

それはそう…私達が昇天する為に昇りつめるということで、さっきまでのは何だったの?ってくらい激しく越を動かして肌を打ちつける隆二。

一心不乱にそこに向って真っ直ぐに気持ちをぶつける隆二に私の方が先に子宮をキューンっと震わせた。

でもそのすぐ後、「クッ…」小さくうめいた隆二は私の上で数秒止まって目を閉じている。

乱れた呼吸だけを大きく揺らして息を整える隆二は、少しののち目を開けて「最高!」そう言うと私の中から抜きでてゴロンっとベッドの上に寝転がった。

片手で私を抱き寄せて髪を優しく撫でる隆二に身体ごとくっつくと「あはは」って乾いた笑いが起こった。


「ん?」

「いやぁ…」


何となく苦笑いの隆二。

鬚を触って困ったように微笑んでいて。


「隆二?」

「うん?」

「どうしたの?」

「うーん…いやいやさすがに…」

「え?」

「言ってもいい?」

「うん…」

「足りない…」


…え?

足りない?

なにが…――――「あ、え…?」言ったのは隆二なのに、どうしてか私が真っ赤になっている気がして。

そんな私を見て隆二がニッコリ微笑んだ。


「もっかいしたい…」


そう言って私の上に乗っかる隆二。


「情熱的だね…」


私の言葉に「慣れてね?」微笑んで隆二がまた私に体重を乗せた。

幸せな私と隆二のValentine…



*END*


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