逢いたくて… 1
「写真集?!」
何かすごいとこに来ちゃったな…。
出版業界で働く私は、先輩の手伝いで都内のスタジオに来ていて。
そこで行われるのがまさかの岩ちゃんのソロ写真集撮りだったんだ。
これ、直人に言った方がいいかな…
って、別に私たちカップルでもなんでもないのに言う必要ないか…。
でも話題になるし、直人と話すきっかけにはなるよね…
モーニングコール…したいし…。
「ゆきみちゃん!?」
「…えっ、はい!?」
「わお、オレ達やっぱ運命!?」
気付くと私を見て嬉しそうに笑っている岩ちゃんがいた。
「わ、岩ちゃん!あの私仕事で…」
「ゆきみちゃんカメラマン?」
「まさか!」
「アシスタント?」
「いやいや…ただの雑用…」
「ぶっ、マジか!でもすっげぇ嬉しい。直人さん抜きで逢えるなんて…クックック…」
悪気はないんだろうけど、岩ちゃんってある意味素直だな。
直人に報告すんぞ!
なんて思っていたら「撮影終わったらご飯行こう?ダメ?」…きゅう〜んって鳴く子犬みたいに私を見てきて。
「二人はまずいから…」
「大丈夫、直人さんも呼ぶから!ゆきみちゃんがいるって言ったら絶対飛んでくるよ、あの人!ねっ!?」
ドキンっとする。
直人に逢えるのなら逢いたい。
この期に及んで自分の気持ちを抑えられていない私は、この岩ちゃんの甘い誘いにまんまと乗ってしまったんだった。