プロ意識1
もしもあれが恋、だったら直人はどうするんだろうか?
2017.11.10。
三代目7周年であり、直己のお誕生日。
記念すべき日にやっぱり輝く直人を見たい!と思い、ライブに行くことにした。
隣には大親友の奈々。
臣くんが溺愛している唯一無二の彼女。
奈々と一緒にライブを見れる日がくるなんて嬉しいの一言だった。
「それすごいね」
私が首からかけている双眼鏡を見て奈々がにっこり。
「そうこれね、20倍!実際見るのは8倍ぐらい?だけど、ここからでも直人さんがバッチリ見れちゃう!」
「あたしも、臣のソロは貸して!」
「もちろん!」
ふふふって二人で笑い合う。
楽しいライブの始まりだった。
ずっとそれが続くと思っていた私にそれは突然現れた。
今回、女性ダンサーさんと絡みがある!ってことは直人本人の口から聞いていて、どんなことをするのか?は、実際教えて貰った。
私を相手にして踊って貰った。
それはあくまでプロとしてみんな同じで。
そこに違和感も嫉妬もなかった。
実際ソロダンスでも、他の曲でもダンサーさんとの絡みは、エロ美しくて、無駄にドキドキしている自分すらいたんだ。
だけど…思わず「ちょっと!」声が出てしまう瞬間がそこにはあって。
隣の奈々がこちらを振り向いた。
でも心臓がぎゅーって握り潰されたみたいで声なんて出せなくて。
困惑しながらも8倍双眼鏡を買ったことを軽く後悔したんだった。
「ゆきみ、なんかあった?」
「え?」
ライブが終わった後、直己のお誕生日やるからって奈々と二人で呼ばれた私に奈々がそっと腕を掴んだ。
その顔はちょっと心配そうで。
奈々には我慢しなくていいよって、そう言ってるようにすら見える。
「うん、あのさ、PKCZの後、トロッコ乗ったじゃん。あの時ダンサーさんとペアで乗るでしょ。happyの前でダンサーさんが降りる時に直人さんに向かって両手広げてハグして…って。私他の人見てなかったから分かんないけど、あれって演出じゃないよね?なんかちょっと8倍で見ちゃったから、痛いかも、ココ…」
トンっと胸を叩くとジワリと涙が浮かぶ。
馬鹿みたい、こんなことで。
「ゆきみ、そっかそっか、よしよし、見たくなかったね、そんなの」
くだらないって笑うことも馬鹿にすることもない奈々のハグにポロリと涙が零れた。