男の勝負 1


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「勝負は3回。そん中で真ん中当てた方の勝ち。どっちも当てらんなかったら、ゆきみの勝ち!ゆきみが選んでいいよ」


……な!!!

なにそれ。

てっちゃん酷い!!

してやったりって顔を見せるてっちゃんが憎くて。

でもだからこそ今まで逃げていた二人への気持ちに向き合おうとも思えた。

これはいわば、私が自分の気持ちを見つめなすチャンスなんじゃないかって。

そのチャンスをくれたてっちゃん。

もしかしたらてっちゃんは私の心の奥底を見抜いている!?


余裕を見せるてっちゃんに対してあくまで真剣な直人くん。

投げる前に深呼吸をしてそれから的を見つめるその視線は強くて見ているだけでドキっとする。

そこにあるのは私への想いなのかもしれないけど、ここで私を一切視界に入れない直人くんからは、集中力の高さと、何とも言えない男気が伝わってくるようだ。

自然と私の気持ちは直人くんに集中していて。

だけど、それをすんなり交わしてしまうてっちゃんの大人の余裕すらかっこよく見えて仕方ない。


きっと直人くんと付き合ったら私は幸せで。

その真っ直ぐな愛情を惜しみなく私だけに伝え続けてくれるんじゃないかって思う。

それがいわゆる女の幸せで。

単純に幸せへの近道は直人くんだって思う。

けれど女が求めるスリルなんてものはそこにはなくって…

刺激的な映画みたいな恋愛を求めるんだったらてっちゃんみたいな怪しい香りのする人は最高のパートナーであって。

そんな刺激は穏やかな時の流れの中で過ごす以上のモノがあるんだと。

辛い思いもするかもしれないけど、それを超えるぐらいの幸せすら貰えるんじゃないかって…

そんなことを思う。


私は一体どっちを求めているのか…―――――





……勝負はわりと簡単についた。



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