リアルキュン 2
ニュイって腕を伸ばして私のほっぺたを摘む直人。
「呼ばないとこの顔インスタに載せるぞ!」
キョトンと一瞬スルーしそうになったけど、「だだだ、ダメ!!ファンが悲しむ!絶対ダメ!!」…気づいたらそう答えていて。
結局私は直人の恋人でありながら、一ファンとしても直人のことを想っている。
「だよね、んじゃ載せねぇっ!けど本当はみんなに自慢したいくらい…」
そう言ってニカって八重歯を見せて笑った。
「直人さん可愛い!」
「オレ、可愛いっしょ!」
自分を指差して自信ありげなドヤ顔。
コロコロ表情の変わる直人を見てると飽きない。
私の腕を掴んで引き寄せると、目の前ド至近距離で小さく囁くんだ…「ゆきみのが可愛いよ」…心臓がキュンって鳴いた。
私を抱き締めたまま胸をバクバク動かす直人が可笑しくって…
「私直人さんが読んでる漫画よく知らないけど、直人さんのことキュンってさせられてる?」
直人の胸に耳を宛ててその動きを肌で感じながらそんな問いかけ。
私の髪を撫ぜながらクスって後頭部で直人が笑った。
「表向きなキュンね〜あれ。ま確かにこの人すげぇ!って思ったけど…リアルキュンは言えないっしょ!?」
そう言うと、直人は私をそっと離して顔を覗き込む。
小さく見える手も、近くにくれば私なんかよりも全然大きくて。
その手を頬に添えられてほんの少し薄目になる私。
「その顔!!」
でも急に直人がそう大きく言うから目をパチっと開けると、ニヤってちょっと鼻の下を伸ばして言うんだ。
「ゆきみのキス待ちの顔…すげぇそそられる…これがオレのリアルキュン!」
そう言ってもう一度頬を包み込むように触れる。
ドキンと胸が高鳴って「…直人さん、ズルイ!」お決まりの台詞が私から飛び出した。