ヤキモチ 6
酔っているのか、いつも以上に直人のキスが深くて。
ほんの少し余裕がない気もする。
もしも直人が本当に余裕がないのなら……
それはきっと―――――「直人さん」そっと胸を押して距離を作る私を真っ直ぐに見つめる直人。
「ん?」
「R.Y.U.S.E.I見たよ!」
そう言うとやっぱり直人の瞳の奥が微かに揺れた。
私を抱きしめている腕に自然と力が入っているようで。
「見ちゃったよな……」
「うんっ!あのね、言ってもいい?」
私の言葉にほんのり眉毛を下げて「うん」小さく頷く直人。
「めちゃくちゃかっこよかった、直人さん!!もう私何度も見ちゃったよ!大成功だね!」
元気良くそう告げたんだ。
まさかって、顔で。
予想外って、顔で。
固まったままの直人を見てニーッて声に出して笑ってみせた。
「嫌じゃなかったの?」
珍しく不安げな声。
直人らしからぬ不安な声。
でもそんな不安を隠さず私にぶつけてくれることが嬉しいんだ。
直人だって人間だから、いくらブラウン管の中では完璧であっても、不安や迷いは少なからず抱えているはず。
それを人に見せたりしない強さを持っているけれど、必ずしも自分一人じゃ超えられない壁だってある。
その壁を一緒に越える相手として、私を選んでくれたことを誇りに思わなきゃ。
直人の不安は私が消してあげる。
「だって仕事でしょ!片岡直人は私だけであってくれないと困るけど、これはEXILE NAOTOだもん。もうめちゃくちゃかっこよくて、ますます好きになった!直人さんお疲れ様!」
「ゆきみ……」
ちょっとだけ感動したような顔に見えなくもなくて。
やっぱり喜怒哀楽を出してくれる直人を嬉しく思うんだ。
「いい女って思ってる?正解?」
だから直人バリのドヤ顔を飛ばしてみたら、すぐに顔を崩して笑った。
「すげぇ思ってる!マジお前最高の女!!」
ガバッと私を抱きしめる直人。
私たちの間にわだかまりがあったわけではないものの、何となく直人の中にあったであろうモヤが消えた気がする。
「直人さん私、本当に直人のこと愛してるんだから、私の事信じてね?」
「おいおいあんまかっこいいこと言うなよ。俺の台詞なくなってまうやーん!」
冗談ぽく直人がはぐらかした。
珍しく照れているんだって。
「大丈夫、直人さんの言葉なら全部かっこよく聞こえるから私!」
「はは、マジでありがとう!ちょっとだけ不安だったのじつは」
そう言うと直人は私を少しだけ離して視線をからめてきた。
髪の毛を指先でクルクル弄りながら言葉を続ける……
「やっぱり彼女だから、嫌だって思うだろうなって。実際ゆきみと岩ちゃんの写真集、俺すげぇ腹たったし!」
「……あれは、忘れてよ〜」
「いーや忘れねぇ!はは、けど、だからゆきみに何言われても仕方ねぇって思ってた部分もあって」
そこまで言うといったん言葉を止めて私の頬をゆびで優しく撫ぜた。