ヤキモチ 4
通常友達と呼べる相手は沢山いる。
普通に出会って仲良くなったならば、それが友達だと思う。
けれどその中でも、唯一無二だと思える相手がいることは、ある意味奇跡なんじゃないかとも思うんだ。
自分一人がそう思っていてもダメで。
逆に何とも思っていない相手に、自分だけがそう思われているだけでもダメで。
お互いが唯一無二、相思相愛だと思える相手こそが、本当の友達であり、親友なんだと。
「助けて」そんなmessageを送った私に、すぐに応えたのが親友の奈々だった。
いざってときに必ずと言えるほど助けてくれるのが、奈々だった。
いざってときに、助けて!と縋る相手が奈々なんだ。
私のくだらないかもしれないその弓矢を、真剣に取りにきてくれた奈々。
もしかしたら、私よりも直人のことを分かっているんじゃないかって!
そんなことすら思えたんだ。
冷たい機会のスマホも、奈々の言葉が入るだけで、温かいものに変わる気がして。
あんなに苦しかった心が一気に快晴のように晴れ渡った。
【ゆきみがカッコイイって見れば、直人さん頑張った甲斐があったんじゃない!ゆきみにカッコイイとこ見せたかったんだろうよ!】
そんな一言で、途端に笑顔になってしまう私。
きっと奈々の言葉には、誰よりも私を想っているって気持ちが込められているからこその、納得なんだと思う。
これが、ただの友達に言われても私は納得なんて出来なかったかもしれない。
けれど、常にいつなんどきも私のことを想い、私の幸せを願ってくれている奈々だからこそ、この言葉をすんなりと受け入れられたんだって。
悩んでいた自分が馬鹿みたいに思えて。
直人の頑張りを私が一番に認めてあげなくてどうするんだ?って。
これを見たことで、少なからず直人は私に対して例え仕事とはいえ、気まずい気持ちを持ってしまうと思う。
あれだけ優しい人だから。
だからといって仕事に手を抜くなんてことは絶対にしないのが直人であって。
だったら奈々の言うとおり私が「カッコイイ」って言うことがベストなんじゃないかって。
そう思ったら早く直人に逢いたくて……
そんな私のスマホに「今から帰る」そう連絡がきたのは、直人が出て行ってから4時間が過ぎたころだった。