余裕 4



「ねぇーゆきみちゃん」

「なに?」


岩ちゃんがちょっとだけ私に体を寄せて耳元で小さく聞くんだ。



「どうだった?直人さん」


……どう?

一瞬何のことか分からなくて「え?どうって?」聞き返した私にニヤッて笑ってこう続けたんだ。


「シたんでしょ?直人さんと!」


言われてドキンと胸が脈打った。

この肉食め。

本当可愛い顔してがっついてるな!


「岩ちゃんそれしか頭にないの?」

「失敬な!今はただの岩田剛典だもん俺!」

「ダメだよ!プライベートでも直人さんは常にEXILEって枠の中で生活してるんだから!お酒飲んでもその辺はちゃんとしてるよ!」


ペイッて岩ちゃんの金色の髪を撫でると、その手をふわりと握られた。


「俺結構マジだったんだけどな、ゆきみちゃんのこと……」


ちょっとだけしょぼんとした顔で私を握る手に力を込める。

だけど、最初に言われたから、直人に。

岩ちゃんは可愛い顔した狼だって。

相手が私じゃなけりゃ、すぐに餌食になるのかもしれない。

でも私は出逢った時から直人だけしか興味がなくて。

だから、こうして岩ちゃんが可愛さアピールしても、それでもvocalふたりに挟まれて飲んでる直人の方が数段可愛く思えるんだ。


「私は直人さんだけだって!」


その想いを口にした瞬間、直人が私にチラっと視線を向けて微笑んだ。

うそ、聞こえてたの?

絶対に聞こえてないと思ったのに。

直人恐るべし!



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