余裕 3




「分かってると思うけどゆきみと正式に付き合うことになったから。さっきHIROさんに紹介してきた。今すぐ結婚ってことじゃないけど、結婚するのはゆきみだって思って付き合ってるから、これからもゆきみを宜しくお願いします」


ペコッて頭を深く下げる直人に合わせて私も深くお辞儀をした。

したんだけど……―――――


「真剣に付き合ってます」ってHIROさん彩さんに言ってくれた直人だけど。

結婚なんて言葉はあの場でも出てなくて。

今初めてその意思を聞いて吃驚している。

そんな私を見て優しく微笑む直人は、我ながら言うのもなんだけど、半端なくかっこいい。

ただ呆然と直人を見つめる私の髪をくしゃっとされて、「固まりすぎ!」眉毛をさげて笑うんだ。

そんな顔で笑ってもダメ。

そんな大事な意思を今ここで言うなんてズルイ。

そんな目で直人を見ると、してやったりって顔で「ゆきみも覚悟決めてな」……私のこの顔を見て気持ちを読んだ直人に、ちょっとだけ気合を入れて頷いたんだ。




――――――――――


あれだけ警戒していた岩ちゃんだけど、いざ付き合ってます宣言をした直人は、全くもって私と岩ちゃんが隣でお喋りしていても気にしていない様子で。

何となく分かる気がする。

三代目ではリーダーの直人。

ここで余裕を見せたくなるのも直人なんじゃないかと。

たぶんだけど、EXILEのメンバーに私を紹介した時は、こんな風に余裕は見せない気がする。

でもそれも直人で。

色んな顔を持っている直人を、やっぱり素敵に思うんだ。



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