PRIDE 4


いいの?

本当に私でいいの?

そんな言葉を思ったのはほんの一瞬で。



「はい。喜んで!」



気付いたらそう答えていた。

そんな私の言葉を分かっていたんであろうけど、それでも少し不安があったのか、ホッとしたような表情を見せる目の前の直人。

いきなりフルネームで呼ばれたから、何だかそれは二人だけの愛の誓いみたいで…



「「結婚式か!」」



言った言葉がものの見事に被って。

その瞬間直人の腕が今度こそ私を強く引き寄せたんだ。

ちょっと痛いくらいソファーの上で抱きしめられて…直人の温もりにそっと目を閉じた。



「HIROさんに報告しねぇとな」


ボソっとそう言う直人。

HIROさんの名前にやっぱりそれは緊張するものの、嬉しくて。


「緊張する…」

「俺も」

「あははは」


ひとしきり笑い合うと、ふっと静寂に包まれた。

途端に激しく鳴り響く私の心音。

だってほら、直人の私を撫ぜる手が止まった。

髪を撫ぜていた直人の手が止まって、ゆっくりと私の肩に触れる。

私を少しだけ自分から離した直人は、緊張気味の私の頬に指で触れた。

その瞳が言ってる…――――「キスしよう」って。

ずっとずっと夢見ていた直人とのキス。

もう言葉なんかいらなくって、そこにあるのは私と直人の深愛だけだった。





―――
―――――
――――――――――


- 49 -

prev / next

[TOP]