出逢い 2
どうも、じゃなくない!?
私はたっくんをガン見するけど、私を見て首を傾げるわけで。
「なに、なんで?」
「え?」
「友達って、あの方々?」
チラッと個室の中に視線を向ける私を見て「ああ、そうです!一ノ瀬さんはジャニーズですよね?」…おいおい、本人ら目の前にしてなんちゅーこと言うのよ!?
「それはもう卒業した!」
「あはっ、そうなんだ!かっこいいっすよね、JSBのみんな」
いやいや、かっこいいなんてもんじゃないわよ!
大好きだったジャニーズを卒業するべくそのきっかけを作ったのがEXILEで。
その弟分である三代目JSBが数人そこにいたんだ。
「あー私一気に酔いが…たっくん私戻るわ…」
ペコッと顔を出したボーカルの今市くんに頭を下げ返して戻ろうとすると、たっくんに腕を引かれて、その場に連れ戻された。
「なななな、なに?」
「いや、助けてって?」
言われて思い出す自分の状況を。
そうだった。
「あの、大きな声では言えないんだけど…ちょっと苦手な先輩と飲みに来てるんだけど、そのしつこくて…彼氏のフリとか…して欲しいなーって」
なるべくたっくんにしか聞こえない声で言ったのに…「二人で来てるんですか?」今市くんからの質問が飛んできた。
「…はい。何度か断ったんですけど、私に決まった相手がいないなら、諦めないって…」
「しつこい奴だな、全く。拓、いってやれよ!」
まさかの協力体制に内心テンションがあがっていく。
「オレでいいんすか?」
イケメンなのに謙虚なのは昔からで。
私は頭を下げて「お願いします」そう言った。
その瞬間、奥で聞いていたのか、更に人が出てきて…――――
うそんっ!!
「あ、どーも。拓の友達やってます片岡です」
またまたご丁寧な挨拶をくれた私の大本命NAOTO。
あわてて頭をさげるとフワッと微笑んだんだ。
「一緒に行きます、オレ」
「え?直人さんが?」
私が聞くと、目を大きく見開いて「知ってる?オレ達のこと…」そんな質問をされて。
「当たり前です」
私がそう答えると、気を良くしたのか、ニコッと笑って「嬉しいね〜」後ろの人に声をかけた。
奥にメンバー全員いるのかすら分からないけど、私は直人から目が離せなくて。
「拓、助けてやれ」
嬉しそうに言った。
「あのでも、もしもの場合はご迷惑がかかっても嫌なんで、たっくんだけお借りしてもいいですか?皆さんはこれからの人だから、こんなことに巻き込むのはちょっと…」
私がそう言うと、直人はキョトンとした顔をしたままこっちを見ていて。
「大丈夫、見守るだけだから。何かあったら助けるのは当然なんで」
そんなこと言えちゃうんだね、直人。
本当にすごいと思う。
「じゃあ、すいませんが、お願いします」
そう言って、私はたっくんを連れて、その少し後を直人と今市くんが着いてきているのを確認しながら、先輩との部屋に戻ったんだ。