PRIDE 3
「直人さん…」
「毎日LINEくれてたじゃん、ゆきみちゃん。あれマジ毎日待ってて。本当なんでこんなに可愛いんだろコイツ!ってあれ見る度に思ってた」
そんな風に言って嬉しそうに笑う直人を見れただけで私は幸せで。
それだけで毎日送っていた価値すら生まれる。
「しつこいって思わなかった?」
遠慮がちに聞く私に、にこって笑って頬を緩くつねる直人。
「それが思えなくて。好きじゃなかったら思うんだろうなって!」
「よかった」
「ゆきみちゃん」
「はい?」
見つめる直人は真剣。
頬に触れていた指をまた肩に戻して真っ直ぐに私を見ている。
きっと大事な言葉をくれる、そんな予感がする。
「ずっと連絡しなくてごめん」
「うん」
「こんなに誰かを好きになったことないの正直なところ。自分のこと以上に好きな人なんていないって…」
思わず吹いてしまいたくなるような、直人らしい言葉。
けど至って真剣な直人の本音に、私は少しだけ微笑んだ。
「岩ちゃんが遊びなのかの判断も分かんねーくらい迷っちゃって。拓に、傷つけたら許さねぇって言われた時も、どーなんだろ?自信ある?って考えちゃって、俺史上珍しく弱気になっちゃって。でも毎日くるゆきみちゃんからのmessage見て心が和んで自然と笑えて…。ゆきみちゃんとだったら未来が見えるんだマジで。たぶん最初に逢った時、俺が女に対して引いてる一線を、ゆきみちゃんの方が引いてて、俺のいる世界も立場も分かってるんだこの子って思ったのよ。でもそんなこと以上に俺、気づくといつもゆきみちゃんのこと考えてて。今あるこの気持ちを無駄にしたらたぶん、一生後悔するって思ったんだ。だから今日逢いにきた…」
そこまで言うと直人は一旦言葉を区切って、小さく息を吐き出した。
ほんの少し緊張が走る。
ドクンと鼓動が脈打った次の瞬間―――――
「一ノ瀬ゆきみさん」
フルネームで呼ばれて。
「はい」
「僕と付き合ってください」
正式な言葉が私だけに届いたんだ。