PRIDE 1
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不安な顔をしていたのか、私を見てフワリと微笑む直人は、やっぱり私の髪に指を触れさせていて。
「俺の仕事って普通じゃないでしょ?」
そう私に問いかけた。
真っ直ぐに見つめる直人は真剣ながらも優しさオーラを出してくれていて。
「うん」
小さく頷いた私の肩にふわりと腕をかけた。
ドキッとして肩をほんの少し浮かせた私に、直人の手が横から頬に触れて、おもわず見つめ合った。
「だから、俺の気持ち伝えない方がいい……そう思っちゃった」
「……うん。どうして?」
「逢いたいって泣いたじゃん、ゆきみちゃん。あの日は偶然にも逢えたからよかったけど、地方遠征もあるし、日本にいないこともある。そんな時に逢いたいって思わせても逢えないし、それをゆきみちゃんに強く言うこともできない。そんな条件だして受け入れて貰うのも何か違うような気がして。俺の彼女には、俺の仕事のせいで寂しい思いさせたくないから…」
直人の言葉は、”今”というよりは、未来を見据えたような言葉のようで。
目の前にいるこの人はほんとうに真面目で誠実な人なんだって、思えた。
普通ならそこまで考えない。
好きだと思って貰えたなら、進む道は今私たちがいる場所ではない。
でもだからこそ、これが今の直人であって、EXILE NAOTOというパフォーマーとしての「PRIDE」なんだと。
EXILE NAOTOである限り、この「PRIDE」は譲れないもので、この思いを曲げることはないんだと思う。
それなら私はこのEXILE NAOTOをただ受け入れるだけ。
それが片岡直人を愛するということなんじゃないだろうか。
「直人さん…」
「んー?」
「私、そんなに弱くない。そう言っても泣いてる前科があるから説得力ないけど」
私がそう言うと、「うんっ」眉毛をさげて少し笑みを浮かべる直人。
「でも恋愛するのに辛くないことなんてないと思う。常に幸せでいられるならそれが一番なのかもしれないけど、寂しさとか、逢えないつらさとか、伝わらないもどかしさとか、直人さんとなら越えていける……そう思う」
「ゆきみちゃん……」
「直人さんを信じてるの私」
「……ん」
「好きだから逢いたいけど、愛してるから待てる……直人さんのこと、愛してる気持ちに嘘はない。だから私を信じて。女はね、好きな人の為なら、想像できないくらい強くなれるんだよ!」
そう言ってニッて笑ってみせた。
真剣な表情で私をみつめる直人は、やああってから少し困ったように笑うんだ。
「信じてるよ。信じてるし、俺のゆきみちゃんへの気持ちも信じてるの!ゆきみちゃんとなら越えられるって……」
そう言って直人は、肩の手に力を込めて私を半転させる。
正面から向き合う格好になって、今度は両肩にポスっと手を添えられたんだ。
「考えれば考える程俺ん中でゆきみちゃんって存在がでかくて、正直EXILEに入ってからこんな風に誰かを好きになったのは初めて。ずっと女よりも仕事が大事だって思ってたし、こんな風に想う人も現れなかったから」
言葉を繋ぐ直人にドキドキする。