嬉しさと切なさの挟間で


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「………」


直人が私を好き?

嘘でしょ。

正直嫌われてはいないって思っていたけど、好きだなんて……


「ゆきみちゃん?あれ固まってらー」


余裕の笑みを浮かべた直人が私を覗き込むように見て。


「そんなに驚く?オレ結構気持ち出しちゃってたかなーって自分では思ってたけど……」


そう言って直人はフワッと私の頭を撫でた。

それからほんの少し照れくさそうに笑って


「初めてゆきみちゃんがオレに逢いに来た時、思わず抱きしめちゃったしね」


あの日を思い出すように、懐かしむようにそう言った。


「直人さん……本当?」

「え?」

「本当に私を好きなの?その好きって私が直人さんを想う好きと一緒?愛してる……ってこと?」


私の質問に直人はクスッと笑って言うんだ。


「一緒であって欲しいと思ってるけど。オレはゆきみちゃんのこと愛してる。そこに嘘は誓ってないから」


キュンと胸が疼く。

目の前のNAOTOは、EXILEだけど今は違っていて。

片岡直人として私を愛してるって言ってくれているんだと。

そう思うなら今までの私達の関係が全て恋というか、愛に繋がっていたんだ!って理解できる。

まさかの直人の気持ちに自惚れていたなんてことはないけれど、それでも直人の言うように、今思うと私を想ってくれていたであろう行動が少しづつ見えてくる。

でも分からないことがある……―――――

キュッと直人の腕を握った私は、俯いたまま小さく口を開いたんだ。



「じゃあどうして…」

「え?」

「どうしてあの日何もしなかったの?」

「あの日?」

「私が直人さんに逢いたいって…抱きしめて貰えて死にそうなくらい嬉しかった。あの時見つめ合って…」


自分で言ってて恥ずかしくなってくる。

言葉を繋げられない私に、繋いでくれるのは直人。


「なんでキスしなかったか?って?」


そう聞かれて、コクンと頷いた。


「してもよかったの?」


そんな質問を飛ばされて、えっ!?って思わず顔を上げたんだ。

そこにいる直人は少しだけ困ったような表情で私を見ている。


「90%キスしたかったけど、ゆきみちゃん唇ちょっと震えてたから。それ見て拓や岩ちゃんとのトラウマがあるんじゃないかって。オレの気持ちも伝えてないのにそこでキスしちゃったら、オレのことも嫌われるって思ったんだよ……」

「直人さんじゃないから嫌だったんだよ私」


そう言うと困惑した表情から一変して口端を緩める直人。


「ごめんね。傷ついちゃった?」


ポンッて直人の手がまた私の髪を撫でて。


「もう頭の中真っ白だった。嬉しさ半分切なさ半分で」

「ははっ!でも分かったでしょ?オレの気持ち」

「うん…」

「……キスさせて」


不意に言った直人の言葉に、私は息が止まるんじゃないかって……―――――




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