モーニングコール 1
その日から、直人のファッションチェックがほんの少し可愛らしくなった。
「直人さん後ろに柄の入った服好きですよね?」
【うん!だってかっこよくない?】
「はい!何か本当お洒落って感じです」
【出たな、ゆきみちゃんの褒め殺し!】
直人のことになると、本当に全部褒めてしまいたくなる。
プライベートの直人もEXILEの直人も三代目の直人も、それほど差はなくって。
やっぱりどれをとっても大好きで、尊敬できる人だった。
「だって直人さんお洒落ですもん!」
私がそう言うと、ほんの一瞬電話越しの直人が黙り込んだ。
「直人さん?」
【あのさ…】
「はい?」
【敬語やめない?それからその”さん”づけも…】
急にかしこまってそう言う直人。
そんな風に言って貰えて、ほんの少し直人との距離が近づいたような気分で私としては嬉しいけど…
「いんですか?」
【うん。ていうか、ゆきみちゃんって何歳?一応女性に歳聞くの失礼かなって思ってあえて聞かずにいたんだけど…拓と同じくらいっしょ?】
「…一応ですか?」
思わず直人の発言に笑いを込めてしまう。
一応のわりに、もう聞いてるし!
【ははっ、そう!一応ね!】
「私たっくんより年上です…―――3歳も…」
あれ?
直人黙っちゃった?
あれれ?
「直人さん?」
【えっ!!拓より上なのっ!?つーかオレより上じゃん!すげぇびびった!!オレ勝手にゆきみちゃんのが年下だと思ってたもん!】
転がる勢いで耳に響いてくる直人の声に思わず笑った。
「幼いって意味ですか〜?」
【いやっ、ちげっ!若いって意味だよ!絶対年相応に見られないでしょ?】
「はい、それは!」
【だよなぁ〜。騙されたわオレ…】
「あっは、やった!若づくり大成功!」
【ぷっ、可愛い】
…え?
直人…?
今なんて…
クスって耳元に直人の吐息がかかるみたいに、小さな笑いが届いた。
「…もう、直人さんやっぱりズルイ…」
【言っとくけどオレ嘘はつかねぇから】
「だからそういうの、ズルイですってば」
さっきからずっと胸の奥がキュンキュン疼く。
鏡に映った自分は本当に嬉しそうな顔をしていて、こんな顔直人に見られたらきっと得意げに微笑まれるんだろうなって思えた。