飲み会 9


「一ノ瀬さん、ベッド使っていいよ?」


明け方、みんな酔い潰れて雑魚寝を初めた頃、たっくんが眠そうな声でそう言ってくれて。

さすがにそれは出来ないだろって、断った。


「じゃあせめてソファーで寝てくださいよ?」


たっくんがそう言うけど、思いっきり直人がソファーを陣取って寝てるのに、それこそ出来ないよ。


「直人さん起こしたら可哀想だから、大丈夫。布団だけちょうだい?」

「体痛くなりますよ?直人さん、一ノ瀬さん隣に寝かせますからね?」


たっくんが断る私の意見なんて聞かずに直人の体をユサユサ揺らして耳元でそう言うんだ。

ギャ――――って私、一人バタバタしていて。


「んあ〜いいよーオッケー……」


クイクイって直人が絶対寝惚けたまま私を呼び寄せてきて。


「むむむむ無理です!そんなの緊張して絶対眠れない!!」

「じゃあ俺とベッド使います?ちなみに下には岩ちゃんいますけど?直人さんの隣が1番安全だと思いますけどねぇ」


拓め!!!

なんちゅー選択肢だよ!

確かに下は危険。

たっくんのベッドも危険。

だけど――――「ゆきみちゃん、いいよー」起きてるのか寝てるのか、目を閉じたまま直人がそう呼んで。


「直人さん、間違い起こさないで下さいよ?言っとくけどメンバーみんな聞いてますからね?」


釘を指すようにたっくんが言うと、ストンッと私をソファーに押し倒した。


「キャッ!」


そう言ったらもう、後ろからガッチリ直人の腕が回ってきて……


「おやすみぃ〜」


そんな呑気な声。

もう私は動けなくて。

後ろから直人に軽く抱きしめられた状態でたっくんに毛布をバサッとかけられたんだ。



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