飲み会 4


直人の口から直人の言葉でそう言われると、本当なんだって。

万が一熱愛発覚記事がでたところで、私は直人の言葉以外は信じないって心の中で決めていた。

だからなのか、今直人が言った言葉が重すぎて……


「そう、なんですか…」


あきらかに気分が落ちたのが自分でも手に取るように分かったんだ。

勿論ながら、いくら急上昇中の芸能人とはいえ、恋愛をしちゃいけません!なんてルールはないはずで、一人の人間として人を好きになる行為はそう簡単に制御できるものでもない。

だから、どんな場所にいようと、どんな立場であろうと、それを止める権利なんて誰にもない。

分かっているつもりなのに、どうしてこんなに心が重いんだろうか。

直人が人を好きになっちゃいけないことなんて、絶対にないのに。


「残念ながらオレにはいないけどね、今は……」


ん?

オレには?

パッと顔をあげて直人を見るとニヤッと得意気な顔で私を見ていて……


「落ち込むぐらいオレが好き?」

「なっ!!!」

「すげー落胆したの分かったけど?」

「そそそれは、その……」

「けどマジでゆきみちゃんのことは、気に入ってるよ、いい意味で」

「え?」


ドキドキしながらも直人を見つめると、ちょっとだけ眉毛を下げて微笑んでいる。

時々見る素の直人の顔で。


「直人さん?どういう……」

「じゃなきゃ、連絡取ったりしないっしょ!」


一人納得って感じに笑うと、直人はそのまま振り返ることなくスーパーに入って行った。

慌ててついていく私の半歩前を軽快に歩いて行くんだ。



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