プロローグ
《この後空いてる?よかったらオレん家こない?》
LINEに入ってきたメッセージを見て、目が飛び出るかと思った。
むしろ、頭がおかしくなったのかと思った。
でもそれはほんの一瞬で。
そっか、家に誘われたっても、別に二人きりなわけないか。
そう思い直してほんの少し恥ずかしくなる。
誰かに見られていたわけじゃないのに、顔が赤くなってしまう気がして。
《直人さんが大丈夫なら行きたい!》
そんなLINEを返したらすぐに既読になる。
可愛いスタンプがポンッと貼られて。
《タクシーで迎えに行くから○○駅で待ってて》
…タクシーなんだ。
勝手に自惚れたくなる頭を振って《はーい!》なんて呑気に返事をした私の前に、その数十分後、彼が一人ポツンと現れたんだ。
「乗って!」
ちょっと放心状態の私の腕を引き寄せてそう言うと彼の隣、タクシーに乗り込んだんだ。
「直人さん?」
「うん?」
「みんなは?もう行ってるの?」
私の問いかけに直人はちょっとだけ困ったように眉毛を下げて笑うと、小さく答えてくれた。
「ごめん、2人だけ…」
こんな夢にまでみた展開…いいの?
出逢ってまだ3ヶ月だというのに…
神様、これが私の運命だと思っていんでしょうか?
そう、出逢いは今から3ヶ月前の寒い夜のことだった。