飲み会 2
「直人さんも十分目立つと思いますけど…」
私が言うと寒空の下、直人はニコっと笑って言うんだ。
「口実だよ、二人っきりになる!」
…―――な、なんだって!?
内心心臓バックバクで口から内臓飛びだしそうなくらいの衝撃を受けたけど…
「またまた〜」
口から出たのはそんな軽い返しで。
だからなのか、直人はクスっと笑うと普通に歩きだした。
無言でただ歩く。
でもその無言が重たく感じることはなくて、こういう空気いいな…ってちょっと思う。
だけど…
「直人さん!」
「ん〜?」
半歩後ろを歩く私を余裕で振り返る直人はサングラス姿で、視線がどこにあるのかなんて分からないわけで。
「放置ですか…?」
私が聞くと、堪え切れないって感じにブハって吹き出したんだ。
「ごめんごめん、ゆきみちゃんの反応面白くて!からかうつもりなかったんだけど、ついね、つい!」
「…もうっ!内心小躍りして喜んだんで、止めてくださいよ、そーいうの!」
「え?マジで?小躍りするくらい喜んじゃった?」
「…だから、そういうの心臓に悪いんで止めてくださいって…」
「え〜じゃあもっとしたいなぁ〜」
子供みたいにそう言って。
でもすぐに「ゆきみちゃんさ?」名前を呼ばれる。
「え?なんですか?」
「そのアウターかっこいいね?」
バーゲンで買った黒いアウター。
お気に入りの一つで、じつは直人のファッションチェックを見て参考にしていたものだった。