想い
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「………」
うんともすんとも言ってくれない直人。
でも私がその胸元に顔を埋めると、そっと髪に手を乗せた。
もう自分で何やってんの!?って心の中では激しく突っ込みを入れているけど、実際の私は大人しくただただ直人にギュっと抱きついているだけ。
「…ゆきみちゃん?」
ようやくしびれを切らしたように直人が私を呼んだけど、顔なんて当たり前にあげらるわけがなくて。
「直人さんこのままでいちゃダメ?」
一生分の勇気を使い果たしたような気分でそう言ったのに…
「それはダメだよ」
あっさりと拒否られたんだ。
もう、穴に入りたい思いで顔を上げて直人を見ると、しっかりと全く動揺すら見せることのない直人がそこにいて。
「…すすすすみませんでした」
そう言って私はしぶしぶ直人から離れた。
でも直人の顔は嫌がっていた風でもなくて。
だから――――「迷惑だよね?」小さく聞いたんだ。
「いや…」
なんとも曖昧な答えを放つ直人は、ふう〜っと小さく息を吐き出してちょっとだけ窮屈だったのか、体制を整えるみたいにお尻の位置を横にずらした。
ああ、私なんてことしちゃったんだろう…。
俯いてしまいたいけど、直人と絡まった視線が外せなくて…
「この状況でずっといられたらオレも我慢も何もなくなるっしょ…」
そう言ってニカって笑った。
「…そういう優しさは結構傷つくよ、直人さん…。私、本当は言っちゃいけないのかもしれないけど…」
そこまで言うと、私は一度視線を直人から外した。
ここまできたらもう言うしかないって、覚悟を決めて、もう一度真っ直ぐに直人を見つめた。
「私直人さんのこと、大好きなんです」
私の言葉に直人の口端が緩んだ気がした。
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