初LIVE 4
「あれ?二人会うの二回目っすよね?」
岩ちゃんが直人の後ろから顔を出して聞いていて。
私はチラっと直人を見ると、何とも読めない表情で。
「そうだよ」
でも直人がそう答えたから私も小さく頷いた。
岩ちゃんはやっぱり首を傾げて「おかしくないっすか?距離が近い…」そう言うんだ。
そして、こう続けた。
「NAOTOさんの距離じゃないっすよね、一ノ瀬さん」
さっぱり分かっていない私をよそに、登坂くんが「ああ、そういやそうかも…」なんて言って私と直人を見比べるんだ。
「距離ってなに?」
岩ちゃんに向かってそう聞くとニヤって笑って私に一歩近づいた。
でもそこに身体を入れたのは直人で…
「岩ちゃんオオカミだから、こう見えて。近寄っちゃダメだよ、ゆきみちゃん」
そんなご忠告をくれた。
言われた岩ちゃんは「NAOTOさん変なこと言わないで下さいよ…」イジケたような顔をしていて。
「オレ嘘つかねぇし」
「あっは、岩ちゃんは隠れオオカミ了解です!騙されないようにしなきゃ私」
「そうそう、マジ気をつけてな」
ポスっと直人の手が私の髪に触れた。
この前会った時、泣いてしまった私にこうして元気をくれたよね…。
直人の手は魔法の手で、その手に触れられると身体の芯から熱くなるんだ。