初LIVE 3


「ああっ!!!」


そう言って私に駆け寄ってきたのは、この前全く喋ることのなかった岩ちゃん。

私の手を取って「来てくれたんだ?うっれしい!」…すげぇフレンドリーなんですけど。

正直岩ちゃんを意識して見ていない私はキョトンとしたまま「はぁ…」つまらない返事しかできない。


「おまっ、触ってんなよ!」


後ろからそんな声が聞こえて、振り返るとまさかの今市くんで。

眉毛が上下にピクピク動いてその顔を見ているだけでも楽しくなる。


「ゆきみちゃん、どうだったオレ?」


岩ちゃんと私を離すように間に入った直人は、当然の如く余裕の表情で私の言葉を待っていて。

そもそも私の言葉が何だか分かっているようでもあって。

そんな余裕たっぷりなのも、直人であって。

モバイルやテレビを通して見ている直人とあまり変わらない。

それが少し嬉しくて、くすぐったくて。


「兄貴!いつからゆきみちゃん呼びっすか!?」


真っ黒な肌を露出させているエリーがそういったらちょっとだけしまった感で直人が苦笑いを見せたんだ。


「最初からだよ!」


そう言うと直人はまた視線を私に戻した。

それからもう一度私を見て聞いた。


「かっこよかったでしょ!?」


自信ありげに。

ちょっと口元を緩めて。

軽く首を傾げて…


「直人さん…言わせるんですね?」


私が言うとプッて笑って私の肩をポンポンっと叩いたんだ。


「言わせる!」


だから真っ直ぐに直人の目を見て言ってやったんだ。


「最高にかっこよかったです!」


私の言葉に満足げに笑った直人を見て、私まで笑顔になった。



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