プロ意識3


私の肩に腕を回してポンポンって頭を撫でる。



「ごめん、嫌な気持ちにさせて」

「ううううん、分かってるの。ごめんなさい、またワガママで」

「ばーか。いんだよ、全部吐き出して。言ったろ、俺、どんなお前も受け止めるって」

「直人さん、」

「大好き?って」

「ふふ、うん」

「俺も…このまま、ここで…」



そう言った直人。

後ろでメンバーと仲良く話している女性ダンサーさん達。

私を離す気がない直人は、私を後ろから抱いたまま他のメンバーと話し出す。

奈々がそんな私達を見て安心した様に笑った。


本当は分かってる、彼女に恥をかかせないようにって、あの場でハグを断ったらそれこそ問題だ。

だからプロとして当然のことをしたんだって。

だけど決まった台本にないあの場所で彼女を抱きしめた直人に、やっぱりモヤモヤしてしまって。

そんな気持ちをちゃんと受け止めてくれる直人がやっぱり大好き。

だからこーいう場で直人が彼女達と英語で喋っていてももう大丈夫だって気持ちにさせてくれる。



「はは、直人さんすげぇこと言ってますよ、ゆきみさん」

「え?」



臣くんが奈々の頭に顎を乗せてクスクス笑っている。



「俺には心に決めた女がいるから…だって。彼女の愛以外は絶対に受け取れない…。すげぇや直人さん。ゆきみさん、愛されてますね!」



訳してくれる臣くんは半笑い。

でも言われた私は嬉しくて。

そうやって私の事を大事だって人に言ってくれる直人が好き。


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