守りたい4
あの後散々誘われたけどキッパリ断った。
てっちゃんは大好きだけど、やっぱり私直人以外の人と二人っきりって空気がダメなんだって改めて思った。
どんなにイケメンが誘惑してきても、直人以外はみんな一緒なんだって。
「ここか…」
六本木のお店を貸し切ってその打ち上げは既に行われていた。
何時に終わるかなんて分かってないけど、ここで出て来た直人を捕まえようと思って私はただひたすらお店の隣にあるカフェで時間を潰した。
――バイキング始まる前の酒盛りにNAOTOはよく呼ばれていて。お酒を飲んでから仕事するのってどうなの?って。真面目なNAOTOは酷く悩んでいたらしい。
――極めつけは打ち上げで男性メンバー脱がされて、下着まで脱がされて手で隠すはめに。あれはみんなドンびいてましたけど、坂上だけは爆笑していました。
この人に私がどうこう意見するなんてことは無理だし、そもそも芝生が違うから入っていくことなんて最初っからできない。
でも、直人がされたとなるとやっぱり見過ごすなんてできない。
一人で悩ませてしまうことがこんなにも苦しいことだなんて思いもしなかった。
直人のキスシーンで一人で苦しんでいた私のことを知った直人も、きっと同じように苦しかったんだって、今やっとあの時の直人の気持ちが分かった。
心配かけたくないし、いつだっていい子でいたい。
でももっと素直に気持ちを吐き出していいんだって思う。
少しでも態度で不安が出てしまうなら、そこにちゃんと言葉を乗せて気持ちを受け止めて貰おうって。
私も直人もそれが出来る人でありたい。
二人の未来の為に…―――
お店の前に人だかりができて、ハッとして私はカフェの外に出た。
そこにまだ直人の姿はなくて…。
でも目に入ったのはそう…「メンディー!!」思わず口から飛び出た声に、思いっきりメンディーの視線を引きつけた。
大きな背丈だからすぐに分かったというか…「でかい…」生で見ると迫力がすごい。
私を見て苦笑いをするメンディーはたぶん私がファンだと思ってるんだって。
どうしよう、直人のこと聞く?
聞いて答えてくれるかな?
怪しまれる?
どうしよう…
そう思ったのはほんの一瞬で、私の足は彼に向って前進していた。
近づく私をちょっとだけ困ったように見返していて…
「あの私、一ノ瀬ゆきみといいます。直人さん中にいらっしゃいますよね…?」
いてもたってもいられなかった。
「え、直人さんですか?」
「はい、あの私…―――直人の恋人です!」
…照れる。
物の見事に照れた。
自分の正体を明かすのがこんなにも照れるなんて。
それに頭おかしいと思われても仕方なくって。
メンディーは一瞬驚いた顔をしたけど、組んでた腕を外して視線を空に投げた。
「証拠あります?」
あるけど、信じて貰えるだろうか…。
私はおそるおそるスマホの待受け画面を彼に見せた。
「ゆきみ!?」
同時に呼ばれた名前。
ホッとして振り返ると、目を大きく見開いた直人がそこにいた。