HERO 4


お湯も一緒に入ってきているのか、子宮の中がめちゃくちゃ熱くて火傷しそう…。

直人の首に回した腕に力を込める私を下から何度も突き上げてくる。

狭い湯銭の中で、お湯がポチャンって弾む度に枠からはみ出て落ちてゆく。

汗と熱気で後ろでまとめた髪が淫らに解れていって…


「直人っ…」


名前を呼ぶとほんの隙間から目が合って優しく微笑んでくれる。

どうしようもなく、かっこいい…

まるで撮影しているかの如く私だけにその色気を存分に撒き散らす直人が好きで、大好きで…――――


何がどうとか、どのタイミングとかさっぱり分からないまま、私達は絶頂を迎えた。



「…ゆきみ、シャワーで洗って…」

「…あ、はい」

「ごめんね…」

「どうして?」

「そのままにしてやれなくて…」


申し訳なさそうにそう言う直人に私はニコっと微笑んだ。

湯船の中から出てシャワーを出した私に、「俺が洗う…」そう言ってシャワーをあてながらそこに指を入れ込む直人。

私の足を直人の液がお湯と一緒に流れ出て行く。


「でも安全日だから大丈夫だと思うけど…」

「うん…」


念には念を。

私達はマンゴーで揉めたあの次の日の朝、ちゃんとこの行為ができた。

もしかしたらこの気持ちを直人に受け止めて貰いたかったのかもしれない。

だから思った以上にすんなりできた。

その後にてっちゃんから【基礎体温つけた方がいい】ってアドバイスを貰って、毎朝私はそれを実行している。

そんなに生理の周期も遅れないし、今の所排卵日は分かっている。

だから今日は大丈夫だけど、万が一ってこともあるから。

今、私が妊娠したら、確実におろすことになってしまう。

人気絶頂の今、直人の色恋スクープは絶対の禁止で。

ましてや熱愛や結婚なんてこともファンは許さない。

これからの彼らの活動範囲も変わってしまうかもしれない。

愛し合う恋人達がその愛を確かめ合う行為で、自然の流れでできたとしても、人生には色んな時期があってそれを待ってはくれない。

愛し合っている私と直人も今はその時期じゃないことが分かっている。

だからこれでいいんだ。




「そういやゆきみはLIVE来れんの?」


お風呂から出てベッドの中でそう聞かれた。


「うん、たっくんがチケット取ってくれて一緒に行くよ」

「おお、拓久しぶりだな!つーか男と二人で行くの…気に入らない!」


プイって頬を膨らませる可愛い直人。


「たっくんがいなかったら私達今頃一緒じゃないかもよ?」

「…いや、それでも俺…ゆきみを見つけたよ」


トサって私の上に体重を落とす直人。

ボディシャンプーの香りごと私を包み込もうとする直人の首に腕をかける。


「直人さん…」

「嬉しいよ、誕生日のLIVEゆきみに見て貰えるの…。会場のファンの子は勿論だけど、ゆきみの為に頑張るな」

「…うん」


死ぬほど幸せだと思った。



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