初雪のジンクス 3



薄ら開けてる瞳で直人を見ると、舌を伸ばして私の胸を濡らしていて。

その妖艶さに思わずゴクリと唾を飲み込んだ。

もう片方の手で反対側の突起を人差し指で焦らすように触っていて、おへそから脇までのラインをツーっと舌でなぞり上げられて呼吸を大きく乱していく。

直人を見ている余裕がなくって、首を天に向けると、容赦なくそこに舌を絡ませて甘い華を咲かせる直人も少し呼吸を荒らげ始める。


「ゆきみ、脱いで」


そう言って着ていた白ニットをそっとバンザイで脱いだ。

ギュッと私を抱きしめる直人も赤と黒のニットを片手で脱ぎ捨てて、またギュッと抱きしめる。


「久々…ゆきみの肌…」


そう言って下から見つめる直人の頬に手を添えて、甘いくちづけを落とした――――――


キスを繰り返しながらゆっくりと後頭部を抱えられたままソファーに降ろされて。

直人がベルトを外し始めたのを見てそっと視線を窓の外に移す。

タワーマンションのここは、こうして窓全開でも外から見られることはなくて。

だからこうして好きに愛し合えるんだけれど…


「あれ、直人さん!」

「え?」


ベルトを外してズボンを半分脱ぎかけている直人の手を握って彼を呼ぶ。

いきなり手を押さえ付けられて苦笑い気味で私を見下ろすも、「外…」そう指差す私の指先を追って視線を窓の外に移すと、パアーっと顔が明るさを増した。


「雪じゃん!降ってんじゃん!おいっ!」


子供みたいにテンションあげて喋り出す直人。

窓に近づこうと立ち上がった瞬間、中途半端にズボンを脱いでいたことに気づいてフラフラになっていて。


「危ない〜」


下から私が支えるけど…


「すげぇ格好だよ、ゆきみちゃん」

「な、直人さんが脱がせたんだよっ!」

「そうだけど!とりあえずハイ、着て!」


自分の脱いだ赤黒のボーダーニットを私に被せる直人は上半身裸のままズボンを上げてそのまま私をバックハグしながらリビングの大きな窓に近寄る。

そっと窓に触れるとひんやり冷たくて。

そこを真っ暗な中シンシンと雪が降りてきていて…。


「初雪だね、直人…」

「だな」


小さく言ってチュって後ろから髪にキスをされた。


東京じゃ滅多に降り積もることのない白いカケラは、ずっと見ていても飽きなくて。


「寒くない?」

「平気。お前いるからむしろムンムンしてる」

「…デリカシーがないなぁ、その言葉!」


笑いながら振り返ると、待っていたかのようにチュって小さなキスをくれる。


「だってこれからって時にこの邪魔よ…直ちゃんプンプンしちゃうわよ!」

「あはは!直ちゃんまだ興奮してんの?」

「…当たり前だろ、ゆきみ抱きしめてんだから。勃たせんなって方が無理っつーの」


偉そうにいつものドヤ顔で言う直人が可愛くて、愛おしくて…

本当に今日いきなり夜時間が空いたから、ここに来るつもりではいたけど、直人とこうやって抱き合う時間が持てるのは久しぶりで。

だから嬉しかったのに、今年最初の雪をこうして二人で見れている現実がすごいことなんじゃないかって。

さっきの初雪のジンクスにピッタリ当てはまっていて…。


「あ!」

「え?」

「うん。じつはあのジンクスには続きがあってね…」

「なになに?」

「うん。その初雪を偶然一緒に見れた恋人達は、絶対に結ばれるんだって…。まぁ、幸せになると意味は一緒だけど…」


私の言葉に直人が目を細めた。



- 112 -

prev / next

[TOP]