初雪のジンクス 1



「初雪のジンクスって知ってる!?」

「え?初雪?」

「うん!」


私の質問に目をグルリと回してそれから小さく首を横に振る直人。

二人半掛けのソファーでくっつきながら直人に視線を向けると、直人も私を見ていて。


「好きな人と一緒に見ると、幸せになれるんだって…」

「へぇ〜」

「だから韓国だと初雪が降ったら、好きな人に逢いに行くんだって」


私が直人に寄りかかると、たくましい腕がギュっと私の腰を抱いた。

テーブルに置いてあったアーモンドチョコを一つ取って直人の口の前に差し出すと、私の指ごとそれを口に含むオス度全開の直人。

お酒が入ると決まって直人は甘えん坊かつ、オトコ丸出しで。


「ここ日本だけど、お前は俺に逢いに来ちゃうわけ?」


得意のドヤ顔でそう言われて。

指を抜いたらゴリっとチョコを噛み砕いた。

それから「食う?」そう聞いて…返事をする前に直人の唇が私に重なった。

口の中にあったチョコを器用に私の口に運ぶと離れる唇。


「んふふふ、おいし」


私が笑うとポンポンって頭を撫ぜた。



1月の寒い夜。

ここの所ずっと多忙な日々を送っている直人が、今夜だけスコっと予定が空いた。

当たり前に私を呼びだす直人が嬉しくて…。

久しぶりの甘い一時に胸が熱くなる。


「お仕事順調?」

「うん」

「体調は?直人さんって強そうに見えるけど時々物凄く風邪引いちゃうよね」

「…サバイバルん時?」

「うん。熱…下がらなかったから毎日心配だった…」

「大丈夫だよ、お前がいるんだから。何かあってもゆきみがいれば乗り越えられる…」


言ってから少し恥ずかしそうに目を逸らす直人。

もう、ズルイんだから。


「直人さんまたそうやって私を幸せにしちゃうんだからー」


私の言葉にフワって八重歯を見せて笑う直人。


「それがゆきみと出逢った意味だからね〜俺」


いつどんな時も、私との幸せを考えてくれる直人が愛おしくてたまらない。


- 110 -

prev / next

[TOP]