親孝行 7



今まで親孝行とかそんなこと特に考えずに生きてきて。

一般家庭で育った私は普通に幸せで。

だからそんなことにも気づけずにいたんだろうって。

生き方も戦場も全く違う直人と出逢って恋をして結ばれた私は、ごく普通に生きていてなかなか気づけない大事なことをよく教わる。

直人達を見ていて自分が感じることも沢山あるけれど、そうやって言葉にして貰うことで、直人達が胸に抱えている大事なことに、少しでも触れることができた。

芸能界という華やかな場所にあっても、一般人以上に謙虚に生きている彼らは、最高に素敵で眩しいくらい。

一ファンとして、直人の恋人として、私も彼に釣り合う女でいないといけない。


「直人さんありがとう」

「え?」

「直人さんが大好き」

「何だよ急に」


そう言いながらも私を抱く手に力を込める直人。


「日々想ってるの、好きって…」

「分かってねぇなーたく」

「ん?」

「片岡直人よ今、俺。そば茶よりお前が欲しくなってるのよ今、俺。どーすんのよ?」


顔を上げると本当に眉毛を下げて困ったちゃんの直人と目が合った。

ガンちゃんに負けず肉食全開の片岡直人がそこにいる。


「狼なっちゃう?」


面白くてからかうみたいに聞く私に、手を伸ばしてそば茶を取るとそれをゴクッと飲んだ。


「アチッ!」

「熱いよそりゃ!大丈夫?舌ヤケドしたらキスできないね?」


私の言葉に目を大きく広げて、それから静かにそば茶を置いた。


「一口飲んだから気がすんだ。行くぞ」


私の手を引いて向かうは寝室。

隣の部屋ではメンバーがゴロ寝中…これ大丈夫!?

直己あたり、起きそうじゃない?

ガンちゃんだって起きてたし。


「直ちゃん、新年会終わってからにしない?」

「やだ!今する!我慢しない!」


子供みたいにそう言ってベッドに私を埋める直人が、その服を脱いだら…ドキドキが広がって。

直人の身体はズルイくらいにセクシー。

それを出されたら私は何も言えない。

だからそっと目を閉じたら、いつもの優しいキスが落ちたんだ――――――




*END*

- 109 -

prev / next

[TOP]