親孝行 6



そうして始まる激励会。

と言っても、日付の変わった今日の夜には紅白歌合戦とカウントダウンライブがあるからそんなに無理強いはできない。

できないのに、この子達の酒の飲み方ってなんでこんなにすごいの!?

これが普通っていっちゃうのがすごいというか、恐ろしい。

結局最後はいつものごとくゴロ寝。

客間が空いてるからそこにみんなが転がって寝始めた。


「身体痛くならないかな…」


一人一人布団をかけてあげながらボソッと呟いたら、ギュッと腕を握られて。

最初に寝ちゃったはずのガンちゃんが、私の腕をキュッと握っている。


「ガンちゃん起きてるでしょー」

「ゆきみちゃん一緒に寝よう?」

「やだよーガンちゃん。プライベートだと狼だもん。私は直人さんの言葉を信じてるからー」


とはいえ、力で引き寄せられたら私だって敵わないわけで。


「岩田!さっさと寝ろよ」


掴まれた手首を剥がしてくれたのは勿論直人。

いつもはガンちゃんに対してデレデレな直人も、私が絡む時だけは、こうして守ってくれる。


「そば茶飲む?直人さん」

「うん、飲む」

「はい」


そう言って私はまたキッチンに戻った。

茶こしをユラユラ揺らしていると、疲れた顔の直人が私に寄りかかるみたいに後ろからギュッとしていて。

メンバーの前で甘えた姿を見せない直人が、二人きりになったことでEXILE NAOTOの仮面を剥いだんだって。


「疲れた?」

「んー少し」

「紅白とカウントダウン大丈夫?」

「全然余裕!」

「あはは、直人さんらしい」

「新年会終わったら少し休みあるから実家に顔だそうと思ってんだけど…ゆきみも一緒に来て…」


…突然の言葉に思わず手が止まる。

HIROさんに交際宣言して、メンバーの前で結婚前提って言ってくれて、それなりに私もそのつもりで付き合っている。

だけど忙しい直人が、私との未来を考えることよりもやることは沢山あって。

だからまさかそんなこと言われるなんて思ってもなくて。


「返事は?ゆきみ…」

「あ、はい。行きます」

「うん。ゆきみの御両親にも会いたいなー俺」


首に顔を埋めて甘える直人。

くるりと反転して見つめ合うと、すぐに小さなキスが降りてきた。


「ゆきみにも親孝行させねぇとな」


ポンポンって私の頭を撫ぜるから。

目の前でふわりと微笑むその顔はすごく優しくてかっこいい。


「もう、ズルイな直人さん…」

「褒め言葉だな、それ」


笑いながら私をギュッと抱きしめた―――――




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