親孝行 5
直人の好きなおつまみを作りながら、隣では料理ずきなエリーがせかせか手を動かしていて。
「エリーちゃんお疲れ様!ランニングマン大フィーバーだね!」
「いやぁ全然っスよ」
「天才だと思うなぁあのダンス」
「いやいや直人さんには敵わないっスよ自分…」
「あっは!そんなにあげなくてもいいって。あのランニングマンはエリーちゃんが生み出したんだし!本当によかったね」
話すといがいにも照れ屋なエリー。
チャラチャラしてそうに見えても、ちゃんと芯はしっかりあって、 それでいて女の子の前だとシャイで可愛い。
直人と付き合うようになってから、こうして三代目メンバーがこの家に来ることも時々あって、その度にメンバーは私を直人さんの彼女って位置で接してくれる。
少しづつだけど、私にも本音を言ってくれるようにもなっていた。
「でも気分は最高っスよ!直人さん直己さんがリーダーでめっちゃよかったっス、俺ら」
「それは、直人さんも同じだと思うな。直己くんもね!この七人だったから今日まで頑張ってこれた…でしょ?」
私の言葉にほんの少し涙を浮かべて小さく頷くエリー。
あのランニングマンを生み出すまで、エリーだって並々ならぬ努力をしてきたに違いない。
この子達は、本当にそれを欠片も見せることなくいつでも初心の気持ちでやっていて。
それが見ているこちらにも十分すぎるほど伝わっている。
「あ、それ美味しそう!」
「これマジヤバイんっすよ、めちゃくちゃ美味いからビビリますよ!」
自信気にエリーがそのおつまみを手づかみして私の前に差し出した。
これは、俗に言うあーんだ。
シャイなくせに、こーいうことは平気でやっちゃうエリー。
これぐらい別にいいよね、こんなことぐらいじゃ怒らないよね直人!
パクリとエリーの指から直接口に入れると、ナイス味が広がって思わず頬っぺたを手で包んだ。
「美味し!!」
「でしょ!」
「うんうん!」
何故かイエーイってハイタッチを求めるエリーに、私も手を出してパンっと重ね合わせた。