親孝行 4
ポンポンって直人の頭を、いつも直人が私にしてくれるみたいに叩くと照れたように笑う。
私の腕を掴んでそこにチュッてキスを落とす直人は、もうさっきまでの揺れた瞳じゃなくて、しっかりと前を見据えたいつもの強い瞳に戻っている。
それでこそEXILE NAOTOだって思うけれど…
「片岡直人封印しなくてもいいのに」
「大丈夫!あいつら帰ったらまた片岡直人に戻っちゃうから。頼むよゆきみ!」
私の前ではいつでも片岡直人であってくれるってことが、最高に嬉しいんだ。
「かしこ、かしこまりましたーかしこー!」
昔のエグジェネでやっていた直人の言い方を真似して言うと、目を大きく見開いて、それからブッで笑ったんだ。
そうやって寝室のドアを開けた瞬間、「え…」目の前の廊下には倒れるようにして重なっているメンバー達。
少し後ろで直己が申し訳なさそうな顔で「だから言ったのに!」なんて言っている。
「やでも、直人さんすげー顔してたから、ゆきみさんどうにかされちゃうんじゃないかって思ったよね?」
臣が隆二にそんな同意を求めていて。
「自分たちはゆきみさんの心配してこう、近づいてたっていうか…」
キョロキョロ視線を泳がせて隆二が答えているのが可笑しくて。
眉間にシワを寄せていた直人もほんのり口端を緩めているのが分かる。
「たく、お前らー。俺がゆきみをどうにかする訳ねぇだろ!」
「でも今キスしてましたよね、2人…」
ガンちゃんの言葉に目をかっぴろげる直人。
「え、聞こえた?」
「直人さん!」
素直に答えちゃう直人に一同笑いが起こった。
ガンちゃんが悔しそうに私を見ていて。
相変わらずガンちゃんのラブ光線は直人と付き合った今もじつは続いていることを大っぴらにはしていない。
もちろん、冗談半分なんだろうけど。
「あ、私とりあえず準備するから、エリーちゃん手伝って?」
「OK!」
直人の横をすり抜けてキッチンに移動した。