親孝行 2
24時を過ぎた頃、そろそろ帰ってくるかな?そう思っていたら、ピンポーンってオートロックの下の呼び鈴が鳴った。
あれ?鍵忘れちゃった?
慌ててドア画面を見ると…「えっ!?」そこに映ってる三代目メンバー達。
直人聞いてない!
LINEには【今から帰るからツマミ用意しといて】ってメッセージだけで。
やられた感満載だ。
タワーマンションのこの部屋まで数分、玄関前のピンポンが鳴った。
慌ててドアを開けると目の前にやっぱりなガンちゃんが待っていた。
「ゆきみちゃんっ、逢いたかった!」
ギューッて直人とは違うその腕に抱きしめられてドキドキしていたらポカンってガンちゃんを殴る直人。
「俺の!俺の!勝手に抱きしめないでよ」
そう言ってガンちゃんを剥がす腕に今度はそのいつもの温もりに抱きしめられた。
「直人さんお帰り。レコード大賞受賞おめでとう!お疲れ様」
「ありがと!ごめんな、みんな行くってきかなくて。酒ある?」
私を腕から離してそう聞いた。
「うん、ある!年末だから買い込んどいたよー!」
「サンキュー助かる!」
ポンッて私の頭を叩いてアウターを脱ぐ直人からそれを受け取ってハンガーにかけた。
カチャンって音がして、ドアが閉まった気がして振り返ろうとしたらそのまま後ろからトンって温もりが落ちた。
「直人さん?」
「おう」
チュッて後ろから髪にキスを落とす直人に胸がキュンとして。
だからくるりと向きを変えて正面から直人を見つめあげた。